─ 技術的な部分で教わった事も多いのではないでしょうか。
「もともとカーブを投げていたんですが、佐々岡さんのアドバイスで『カーブを投げて自分の状態を確かめる』ことを教わりました。佐々岡さんも現役時代、カーブが横に滑っている時はあまり調子がよくなかったそうです。しっかりカーブが縦に割れる時は体も縦ぶりで投げる事ができている証拠になるので、自分もカーブを投げて状態を確かめるようになりました。最初に教わった事がそれで、今でも基盤になっています。投球練習5球の中でもカーブを入れるようにしていますし、試合の中でもカーブを投げて修正していくことはあります。それでしっかり体を縦に使う事を確かめています」

─ それまでに行っていた修正方法とは全く異なるものだったのですか?
「教わるまでは直球で調子を修正しようとしていました。ですがそれだとどうしても修正が難しくて、数センチずれただけでもボール球になっていました。カーブを投げる調整方法は、それに比べてもっと大雑把というか、違う視点で投球フォームを修正しているような感覚です」

─ 今季は中継ぎからスタートしましたが、後半は先発ローテーションの軸として活躍されました。改めて先発としての魅力を感じる部分はありますか?
「比べて良いものではないですが、中継ぎと先発ならば、やはり先発の方が注目を浴びやすいですし、その分背負うものも大きいです。でも自分としては中継ぎの方が難しいと感じていました。大変なポジションだと思いますし、だからこそ、今でも『中継ぎで投げてくれるか』と言われれば、いつでも投げても良いと思っていますし、そこは忘れてはいけない部分だと思っています。やはり、勝てば勝つほど周囲の期待も大きくなって、その分自分の中で『次の登板は大丈夫かな、来季も同じように投げられるかな』と不安も大きくなっていきました。でも自分一人ではないですし、中継ぎの人もいます。投手陣の絆を考えれば、カープは全員野球が本当にできているチームだと思います。今は自分のポジションというものに、あまりこだわりを持たないようにしていきたいと思っています」