7月16日の巨人戦(マツダスタジアム)で今季初の先発マウンドに登板するカープ薮田和樹。2017年にはチーム最多の15勝をマークしたが、過去2年は不本意な成績に終わった。再起への思いを胸に、背番号23は再び先発として輝くことができるのか? ここでは薮田が15勝でブレイクを果たした2017年のシーズン終盤に行われたインタビューを振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2017年11月号掲載)

今季リリーフとして5試合に登板し、結果を残し続けてきた薮田和樹投手。

─ 2017年は1年間一軍で活躍した上での優勝でした。決まった瞬間はどのような思いでしたか?
「個人的に昨季とは全く違った優勝の形だったので、本当にうれしかったですし、一番はホッとしたという気持ちでした。昨季はほぼ優勝が見えていたシーズン後半から一軍で投げている状況でしたし、勢いと流れに乗らせてもらったというか、優勝を経験させてもらったという感覚でした。それだけに今季は1年間一軍で投げ続けて優勝に貢献できたという意味でもうれしかったですし、充実感もありました。祝勝会も2年連続立ち会うことができましたが、なかなか経験できることではないと思いますし、本当に恵まれていたシーズンだったと思います」

─ プロ入り3年目で15勝をマークするなど、大活躍のシーズンとなりましたが、この自身の姿を想像できましたか?
「全く想像できなかったです。オープン戦から結果が出ていなかったのですが、それでも開幕一軍に選んでもらいました。中継ぎからのスタートだったので、勝ち数などは全く気にすることなく『チームで一番多く投げるんだ』という思いだけでした。その後は先発に回るなどいろいろな事があったシーズンですが、終わってみれば早かったなと思います。また1年間投げ切る事も初めての経験でしたが、疲れを感じたことは特にありませんでした。ですが終盤は、目に見えない体の疲労というか、思っていたより動かなくなってきたと感じる時期はありましたね」

─ 今季印象に残った自身の登板はありますか?
「8月12日の巨人戦での完封勝利です。特に8回裏に打席に向かう時の歓声は忘れられないですね。あの場面は、本当にファンのみなさんの歓声に後押ししていただいたと思いますし、今思い出しても鳥肌が立つくらいです。菅野(智之)さんに投げ勝てて、何より初めての完投、完封でしたし、『自分1人でも1試合投げきれるんだ』という事を知れたので、本当に自信、きっかけになった登板でした」