◆プロに入って投げる喜びを覚えた

─ 薮田投手は大学時代、故障に苦しんだ時期でもありました。その経験がプロで生きている部分はありますか？
「やはりケガをしない事が一番なんですが、それを経験しているというのは、今まで全くケガをしたことがない選手よりも強みだと思っています。ですが大学時代にケガをしたときは、「このまま終わるんじゃないか」、「今までのような球を投げる事ができないんじゃないか」ということばかり毎日考えることがありました。それだけにプロに入ってからは、より体のケアを意識していますし、何より『野球ができる状態で悩む事ができている』ことが幸せだと感じています。普段あまり落ち込んだりしないのも、大学時代の苦い経験のおかげかもしれません」

─ プロ入り後、自身が成長することができた大きな要因を挙げるならば、どのような事がありますか？
「プロに入って僕が成長させてもらうにあたって、佐々岡（真司・当時二軍投手コーチ。現監督）さんはとても大きな存在です。プロという世界は『自分でやってのし上がっていく世界』だと思っていたので、成績が残せなければ２、３年でクビになって、それこそ『良い選手しか目を向けられないんじゃないか』と思う部分がありました。ですが、佐々岡さんはしっかり僕に目をかけてくれました。自分の気が抜けていたら叱ってくれましたし、『薮田をなんとかこの世界で成功させてやろう』という気持ちが本当に伝わってきました。僕にとってはプロ入り後の恩師だと思っています」