8月4日のヤクルト戦で最終回を3人で締め、今季2セーブ目を挙げたフランスア。開幕からストッパーに悩まされてきたカープ投手陣にとって、ドミニカン左腕の復調は最大の朗報だ。

 2018年に彗星のごとく現れ、同年8月にプロ野球記録に並ぶ月間18試合登板という偉業を達成したフランスアは、最終回のマウンドにどのような思いを持って上がっているのか? 過去本誌に語った言葉から、ストッパー最有力候補と目される男の矜持に迫る。

7月下旬から徐々に調子を上げてきたフランスア投手。

 決して順風満帆とはいえないスタートだった。2018年シーズン開幕前に育成契約を締結し、同年5月には念願の支配下登録を勝ち取った。カープアカデミー出身選手として期待がかけられていたフランスアだったが、5月26日(中日戦・マツダスタジアム)、6月14日(オリックス戦・京セラドーム)と2度の先発機会では、いずれも期待に応えることができなかった。

 そんなドミニカン左腕が輝いたのは、先発ではなく、リリーフのマウンドだった。先発時に見せていた制球面の課題はリリーフ就任と共に安定。また自らの投球に対する意識を変えることで、結果にもつながっていった。

「これまで自分の中で三振を狙って取りに行く気持ちはあまりありませんでしたが、2ストライクになってからは自然と三振を狙う気持ちが出てくるようになりました。先発時代はなるべく少ない球数で打者を打ち取ることを念頭に置いていましたが、徐々にその考えは変わってきています。終盤の緊迫した場面では三振を取らなければならないときが少なからずありますから」

 一軍デビュー直後の配置転換ながら、新たな環境にすぐさま順応したフランスアは6月中旬から快投を連発。8月には稲尾和久(元西鉄)などが持つ、月間18試合登板大記録をマークするなど、連投も厭わない高い献身性でチームの3連覇に大きく貢献した。

 昨シーズンは不振の中﨑翔太に変わって、守護神として最終回のマウンドも経験。出力不足を感じさせる部分もあったが、終わってみれば67試合登板・12セーブ(いずれもチームトップ)をマークするなど、苦しみながらも崩壊しかけたリリーフ陣の柱としてフル回転した。