初の開幕スタメンの座を射止め、開幕直後に自打球が顔面を直撃するアクシデントに見舞われながらも志願の出場を続けるなど、ド根性を見せている二俣翔一。4月15日は今季初ホームランもマークした背番号99が、ポジション奪取のために取り組んだ『フォーム改造』を語る。(全3回/第2回)

今季打撃フォームを大幅に変更した二俣

打撃フォーム改良のポイントは、脱力と球を潰すイメージ

─今シーズンは打撃フォームを改良し、明らかに見た目も変わったフォームとなりました。

「そうですね。もともとグリップも高い位置で構えていたんですが、低く構えて、そこからスローイングのイメージでスイングするようになったのが、一番見た目で変化した部分かもしれないですね。あとは、バットを棒のように振っていた感覚だったので、しならせてスイングするために低く構えることで脱力してしっかり100%スイングするようにしました。そうすることで、しなりも出てきました。あとはバットの握り方も変えました」

─DeNAの宮﨑敏郎選手の構えに似ているという声もあります。

「これは、最終的にあのような形になってきて、宮﨑選手に似てきた、というイメージですね。グリップ位置は下げましたが、最初は足のスタンス幅がやや広めでした。そこからタイミングのとりやすさを考えるうちに、少しずつ足のスタンス幅が狭まってきて、つま先の角度なども自分で調整してきて、最終的に今のような打撃フォームになりました」

─最初から宮﨑選手の打撃フォームを意識したわけではなかったのですね。

「周囲からは『宮﨑さんに似ているな』と言われるようになりましたが、オープン戦で横浜に行ったときに、宮﨑さんとお会いする機会があって、構えているときの体重移動の比率をアドバイスしてもらいました。僕は右足に体重を乗せて構えていたんですけど、その分投手に対して受け身になってしまう部分があったんです。宮﨑さんにその部分を聞くと『逆に左足に体重を多く乗せることで、いつでも打ちにいけるようにしている』と助言をいただきました。それからは僕もそのようにタイミングを取るようにしています」

─オープン戦では本塁打を含めて長打が目立ちましたね。

「今まで遠くに飛ばしたいという意識があるなかで、変に下から振り上げるというか、メジャーでも流行りのスイングスタイルをイメージしていました。ですが、今はその真逆で、上からボールを潰すようなイメージです。バットをしならせながら、強い打球を打つことを意識した結果、ボールを潰す意識でスイングして、打球にスピンがかかって飛ぶようになりました。打席のなかで一番意識しているのは、内野の頭に強いライナーを打つイメージです。それで良い角度にあたれば、良い打球が飛ぶ、そんなイメージです。打球の速さも試合のなかで上がったりしてきましたし、構えていて変な力がなくなり、タイミングもとりやすくて、しっかり見極めることができるようになったと思います」

─手応えを感じた打席、一打などはあったのですか?

「沖縄でのオープン戦(2月18日)で、楽天の渡辺(翔)投手から打ったホームランですね。今まではインコースのストレートがなかなか上手く打てなくて課題でした。あの打席はインハイのストレートだったのですが、体の回転をうまく使いつつ、上から球を潰す意識で打った結果、しっかり打球にバックスピンがかかって打球が伸びたなと。そういう意味でも手応えを感じられる一打でした」

(後編へ続く)