2024年シーズンは開幕前に侍JAPAN選出、初の開幕スタメンをつかみ取ったカープ・田村俊介。誰もがブレークを予感したが、開幕後は打撃不振に陥り、悔しさが残るシーズンを過ごした。秋のキャンプ、春のキャンプではレベルアップを図るべく連日、一心不乱にバットを振り続けてきた。前年の反省と悔しさを胸に一軍定着を狙う若鯉の今に迫った(全2回/第1回)

一軍定着を目指す田村

焦りが出た2024年。今季はその反省を活かす

─3年連続で開幕一軍となりました。毎年思いは違うと思いますが、今季はどんな感覚ですか?

「昨年は開幕スタメンを経験させていただいたり、すごく気持ちが昂ぶり過ぎて結果が出なかったという反省がありました。それだけに、今年はキャンプから落ち着いて自分のペースでやっていく事をテーマとしてきました。なので、昨年よりも落ち着いている感じですね」

─昨季も田村選手に対する期待は集まっていました。

「そうですね。ずっと自分は自分なりに頑張っていこうという思いはあったんですけど、やっぱりどこかで期待に応えたいとか、違う気持ちになってしまったり、無意識に焦りが出た部分があったと思います。それも良い経験になって、今は落ち着きにつながっていると思います」

─昨シーズンですが、改めて振り返るとどんなシーズンでしたか?

「全く自分が思った通りにならなかった1年だったなと思います。その中で、今までに経験できなかったことを1年間通じてやれたことが、今の引き出しになっているなと感じることがあります」

─苦しむ中で、さまざまな面で試行錯誤されたのでしょうか?

「打撃面でいうと、左ピッチャーに対しての打席の入り方であったりとか、準備の仕方であったりとか、自分がおかしいなと思った時に、バットを短く持ってやってみたり、ノンステップで打ってみたり……自分なりにいろんなことを取り組んできて、そういうことが今になってやってきて良かったなと、そう思いながらやれています」

─最終戦では新井貴浩監督が『変化する1年になる』と発言し、秋のキャンプから厳しい練習が課されました。

「毎日ここまで振り込んだことはありませんでした。昨年の秋のキャンプは人生で1番振り込んだなと思いました。キャンプをやり切った時は『やっと終わった』という感じでしたが、だんだん時間が経つにつれて『あれだけやっていて良かったな』と感じました」

─どのような場面で、やっていて良かったと感じましたか?

「キャンプが終わって少し休んで練習を再開する時に、『今までよりもパワーがついたな』とか『スイングにキレが出たな』と感じることができました。キャンプに入る前、フェニックスリーグで取り組んできたことをキャンプの中でやり続けて、体に染み込ま込ませていました。その結果、今までと違う新しい感覚になったので、振り込んできて良かったという実感がありました」

─春のキャンプでは、どのようなテーマで臨みましたか?

「僕のテーマは昨年やってきたことを継続して、1月の自主トレも継続してやって、それを2月のキャンプでも継続してやることがテーマでした」

─キャンプでは連日ロングティーが組まれていました。

「春は実戦が入ってくる中でロングティーをしたり、ティーバッティングをしたり、フォームの調整などを行いながら取り組みましたが、振り込む中でいろいろ新しい発見もありましたし、秋と同じようにやって良かったと今でも思っています」

─春のキャンプを過ごすなかで、競争意識はいかがでしたか?

「競うというより『これをやっていかないといけない』と自分で決めたものを、追い求めてやっていました。自分がやるべき事は何か? を常に考えていたので、他の選手は別に気になりませんでした」

─オープン戦では、打撃面でなかなか結果が残らない時期もありましたが、焦りはありませんでしたか?

「打撃の感覚は悪くなかったんですけど、指をケガしてしまったり……もしかすると、そういう影響があったかもしれませんが、コンディションが良くなっていけば、良くなっていく感覚でした。やはり、あれだけ振り込んできたという自信はあるので、全然そこに関しては焦りはなかったです」

(後編へ続く)