近年『打撃が課題』と言われ続けるカープ。今シーズンはここまでチーム打率がリーグ上位を推移するなど打線が好調だ。 ここでは改めて、過去の主要な“カープ歴代強力打線”をピックアップ。チーム成績とチーム打率の相関性を見ていく。

2005年に打率.288で27本塁打をマークした「赤ゴジラ」嶋重宣

◆1978年【脅威の200発打線】チーム成績3位/チーム打率1位
<打率.284/130試合/1244安打/205本塁打/692点/盗塁54>

 1978年はカープ球団史上最多のチーム本塁打数を記録した。来日2年目のギャレットは、開幕4試合連続アーチの新記録を樹立するなど序盤から一発を量産。王貞治(巨人)、大杉勝男(ヤクルト)、長嶋茂雄(巨人)が持つ月間タイ記録と並ぶ、月間14本塁打も達成した。

 8月には山本浩二が月間MVPを獲得。9月28日には水谷実雄が2本塁打を放ち、シーズンチーム最多本塁打195の日本新記録を打ち立てた。結果、山本は44本で球団初の本塁打王、水谷も首位打者に輝いた。山本、ライトル、衣笠祥雄が30本塁打以上を記録するなど軒並み高い打撃成績を残し、チーム本塁打205本はいまだに球団史上最多だ。

 チームは3位に終わったものの、翌年からの2年連続日本一を支えるメンバーたちが輝きを放ち始めたシーズンとなった。

◆1996【3割バッター5人を生んだ“ビッグレッドマシン”】チーム成績3位/チーム打率1位
<打率.281/130試合/1264安打/162本塁打/642点/盗塁115>

 三村敏之監督就任3年目のシーズンは開幕直後こそ苦戦したが、5月、6月をハイペースで乗り切り巨人の最大11.5ゲーム差をつけていた。

 打線は野村謙二郎、前田智徳、緒方孝市、江藤智、金本知憲など生え抜き選手を軸に、この年からロペスも加入。“ビッグレッドマシン”と呼ばれる超強力打線を形成した。

 投手陣は序盤から紀藤真琴や山内泰幸、抑えの佐々岡真司らが盤石の投球を見せ、優勝はほぼ間違いないものと思われていた。しかし7月9日の巨人戦での敗戦を機に、風向きが一気に逆転。その後故障者が続出したこともありカープは失速。“メークドラマ”と呼ばれる巨人の猛追を許し、まさかの3位でシーズンを終えた。

 この年に記録したチーム打率.281は、1978年に次ぐ球団史上2位。規定打席到達打者の内、3割打者は5人と、平成カープの中でも最強打線との呼び声も高い。

◆2005年【20本カルテット形成】チーム成績6位/チーム打率2位
<打率.275/146試合/1374安打/184本塁打/586点/盗塁51>

 山本浩二監督最終年となった2005年。最終的に借金26で1993年以来12年ぶりの最下位に沈んだものの、打線自体は活発だった。主要メンバーの成績を見ても、それは明らかだ。

 前年首位打者に輝いた嶋重宣が、打率.288で27本塁打。以下、前田智徳(打率.319/32本塁打)、緒方孝市(打率.306/21本塁打)、ラロッカ(打率.303/18本塁打)、新井貴浩(打率.305/43本塁打)が本塁打王に輝くなど、チーム打率は.275を記録した。

 ところがチーム防御率が4.80と投手陣の不調が響き、強力打線が奮闘したものの、長らく続く低迷期を脱することはできなかった。