交流戦では粘り強い戦いを見せ続けたカープ。ペナントレースも後半戦に突入し、悲願の優勝に向けて着実に勝ち星を積み上げていきたいところだ。ここではOB・大野豊氏が、交流戦での戦いぶりと、昨シーズンからの『変化』を独自の目線で解説する。(全2回/第1回)(データは全て6月15日時点)
◆しっかり点を取って勝つ。先発の白星も増えてきた
交流戦を終え、ペナントレースもいよいよ後半戦に突入します。シーズン前半はなかなか先発投手に勝ちがつかなかったカープでしたが、交流戦の序盤からは先発にそれぞれ勝ちがつくようになってきました。
当然、チームが勝つことが大前提ではありますが、やはり先発に白星がつくような戦い方は理想的です。
まだまだ完全なチームとは言えないかもしれませんが、うまく若手を起用しながら、これまでは苦手と言われてきたパ・リーグの投手、野手に対応できるだけの力がついてきたことは評価しても良いのではないかと思います。選手たち自身にも、「交流戦であってもやれば勝てるんだ」という自信がついてきたのではないでしょうか。新井貴浩監督就任から3シーズン目となりますが、パ・リーグと互角に戦うための準備、試合への入り方も浸透してきているのだと思います。こうした戦いを続けていくことは、今シーズンに限らずここから先のカープにとっても非常に大切ですから、自信を持って、良い部分はより磨いていってもらいたいです。
今シーズンは、『しっかりと点を取って勝てる』試合が増えていることにも注目したいところです。その背景としては、なんといってもファビアンとモンテロの頑張り、粘り強さの影響が大きいでしょう。彼らがしっかり結果を残してくれることで、打線のつながりや得点力が上がっているイメージがあります。
また先ほどもお話したように、先発投手に勝ちがつくようになってきた理由の一つには、投打が噛み合ってきたことが挙げられると思います。シーズン当初から投手陣は頑張ってはいましたが、5月の中盤から後半にかけては、打線が2点、3点しか取れない試合も多くありました。首脳陣としては、僅差の中でリードを許してしまうと、投手を変えざるを得なくなるのが正直なところです。
そこで競り勝つことができれば良いのですが、なかなか点を取るのが難しい、逆転することが難しいというチーム状況では、勝ちがつかない早い回であっても先発投手を変えざるを得なくなるのです。
結果的に逆転ができた試合であっても、勝ちがつくのはリリーフやクローザーです。そうした試合展開が多かったことも、シーズン前半に先発になかなか勝ちがつかなかった要因の一つなのではないかと考えています。
例えば4点、5点と点を取ることのできる打線であれば、逆転を信じて先発を続投させることもできますが、なかなかそれが難しかったというのが今シーズン序盤のカープでした。
野手陣の援護がもっとつくようになれば、先発に勝ちがつく試合はここからもっと増えていくでしょう。
(後編へ続く)