2025年、カープはファビアン、モンテロ2名のドミニカンが打線を活発化させている。また、1990年に設立したドミニカカープアカデミー出身の選手も過去に活躍するなど、カープとドミニカ共和国とのつながりは深い。ここでは、カープで活躍するドミニカンのように、ドミニカ共和国で活躍する日本人を紹介する。
独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ/Japan International Cooperation Agency)は、日本の政府開発援助(ODA)をとりまとめて行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っている。その国際協力の1つとして、現在JICA海外協力隊(シニア海外ボランティア)として活動する飛岡悟さんは、ドミニカ共和国で現地の剣士たちへ『剣道・居合道』の指導を行っている。ここではJICAの取り組みや、日本からドミニカ共和国へ渡った隊員の思いなどをお届けする。
国内に14拠点の事務所を要するJICA。その中で、広島県東広島市に中国5県を取りまとめる『JICA中国センター』があり、海外からの研修員の受入れや日本の民間企業が途上国へ進出するための支援などを行っている。2015年〜2017年には、広島県ならではの取り組みと言える、プロ野球チームの広島東洋カープとの連携事業として、スリランカの野球指導者育成、世界の野球能力向上に努めながら、平和の大切さについても考える機会を提供するなど、さまざまな取り組みを行っている。
ドミニカ共和国は、中南米・カリブ諸国の中で、最も好調な経済発展を遂げている国の一つではあるものの、国民の約3割が貧困層に属しており、国内格差が問題となっている。また、ビジネス環境や都市インフラ、廃棄物管理、防災、保健医療などでの課題も多く、JICAは「持続可能な社会経済開発」と「健全かつ調和のとれたガバナンスと横断的課題への対応能力強化」を重点分野とし、同国の競争力強化、保健医療人材の強化、環境保全・気候変動対策等、さまざまな取り組みを展開する。
そのなかで、青年海外協力隊は、日本の伝統文化や、音楽、デフリンピアンやパラリンピアンとの交流を通じ、スポーツ振興なども行っている。今回は、実際にシニア海外ボランティアとして、ドミニカ共和国へ派遣され『剣道』の指導を行う、飛岡悟隊員に話を聞いた。
◆日本の剣道の理念を伝え続けるシニア海外ボランティア・飛岡悟隊員
私は兵庫県出身で、これまで兵庫県庁の剣道部に所属し、そこで剣道を長年指導しておりました。そんな中、海外からも剣士が稽古に来られていました。彼らに話を聞くと、多くの剣士が『日本で剣道をしたい』という思いを持ち来日するものの、金銭面などさまざまな問題から断念せざるを得ない状況がありました。『彼らが来られないのであれば、私が海外へ行き、剣道の指導をしよう』と思ったことが行動を起こすきっかけでした。
その後、JICAの存在を知り、シニア海外ボランティアという形で、1度目は東アフリカのモザンビークというところで任期2年を遂行しました。現在は2度目の参加として、ドミニカ共和国へ渡り、剣道と居合道を教えています。
最近感じることは、剣道がスポーツ化してきており『勝てば良い』と勝ち負けにこだわる剣道になってきていることです。私としては、剣道の理念は『強く、正しく、美しく』が本来あるべき姿だと感じており、先生、先輩、仲間同士をリスペクトし、礼儀を重んじて、自分を鍛錬していく執念こそが剣道なのだということを現地の剣士に伝えたかったのです。試合に勝つ剣道は、身体能力の高い彼らに教えることはすごく簡単なことです。しかし、日本元来の剣道を教えたいですし、また彼らもそれを求めているからこそ、日本のJICAに要請されているはずですから、そのモットーはぶらさず取り組んでおります。
弟子の中には仕事を持っている者も、学生もいますので、現在は週4〜5回、午前9時〜11時、午後7時〜9時の時間で指導しています。土曜は居合道を8時〜10時、剣道を10時〜12時で指導しています。ドミニカ共和国の人たちは、身体能力が非常に高く真面目な方が多いです。ただ、熱しやすく冷めやすい面もあるので、彼らのモチベーション維持は現在直面している課題でもあります。
ドミニカ共和国は『常に夏で暑いのだろう』と思う方もたくさんいらっしゃると思いますが、日本の夏に比べると湿度が低く、すごく住みやすいと感じています。何よりドミニカ共和国の方は、人懐っこく、とても親切な方が多いです。また食べ物も美味しく、私のおすすめは『チチャロン』という豚の唐揚げと、『トストーネ』という緑色のバナナを切って、茹でて、潰して、それを揚げた食べ物です。ぜひ機会があればみなさんにも食べていただきたいです。
カープで現在ドミニカ共和国出身の選手が活躍しているようですが、こちらにはカープアカデミーがあり、私もこちらに来る前からその存在を知っておりました。個人的にはカープとはとてもご縁を感じています。というのも、いとこが広島で蕎麦屋を営んでいるのですが、そこに北別府学さんがよく足を運んでくださっていたそうです。カープで活躍している、ドミニカ共和国出身の選手たちには、持ち前のポジティブさと身体能力を活かして、“ジャパニーズドリーム”を目指し頑張ってもらいたいです。私も彼らの母国ドミニカ共和国から応援しています。
◆JICA海外協力隊募集に関するお知らせ◆
近く、JICA海外協力隊の募集が行われる予定。
海外での活動や、日本に住む外国人との交流など活動は多岐にわたる。
詳細はJICA公式サイトにて順次発表されるので、要チェック。
【募集情報はこちら】
◆JICAが行うドミニカ共和国での代表的プログラム◆
1.非感染性疾患予防・管理のためのプライマリ・ヘルス・ケア強化プロジェクト
2.サントドミンゴ大都市圏交通管理能力強化プロジェクト
3.フードバリューチェーン強化のための農業金融改善事業
4.統合的な固形廃棄物管理改善事業
5.「障害と開発」に関する各種活動(技術協力を通じた政策対話、ボランティア派遣、研修事業、デフリンピアン・パラリンピアンとの交流)
6.Artist in Project