阪神が独走体制に入り、残り5チームがCS争いに向けて火花を散らすペナントリーグ。カープもAクラス入り、CS争いへ厳しい戦いが続くことが予想されるが、一方で、取り組むべき課題も明確だ。ここではレジェンドOB・大野豊氏が、新井カープの課題と希望を解説する。(データは全て8月7日時点)(全2回/第2回)

3勝目をかけ、8月28日の巨人戦への先発が予想される髙

◆勝てない要因は明らか。立て直してCS争いへ

 開幕からここまでの変化としては、島内颯太郎と森浦大輔がセットアッパー、クローザーを務めるようになったことも挙げられます。栗林良吏とハーンがなかなか本調子とはいえないということで、誰が彼らの代わりを務めるかで投手起用もバタバタしている印象を受けました。

 開幕当初からここまでに複数ポジションで入れ替えがあったということは、打線と同じく、投手の状態も思わしくないということです。

 打線が点を取れないのであれば、投手が点を取られないように踏ん張らなければなりません。特に、7月21日のヤクルト戦(神宮)のように、9回二死から逆転満塁本塁打を浴びるような負け方は、単なる1敗というだけでなく、後々響く1敗になってしまうのです。そうならないように、リードしている試合はしっかり勝って終えなければなりません。

 一方で、良い話題もあります。8月1日の中日戦では、髙太一がプロ初先発、初勝利をつかみました。3日には、同じく中日戦で遠藤淳志が今シーズン初勝利をあげています。さらに髙は8月21日のDeNA戦でも好投し、今季2勝目をマークしました。

 前向きに捉えるならば、まだ7月であり、ここからペナントレース最終盤にむけてなんとか立て直していく時間があるとも言えます。ここまで勝てなかった要因は明らかですから、いかに不安材料を減らしていくかが大事になってくるでしょう。

 打者は早い回に、相手先発から点を取ること。

 投手は序盤に失点をせず、粘り強く投げて援護を待つこと。

 そこが噛み合うようになればおのずと連勝にもつながり、先発の勝ち星も増えてくると思います。ただこれも、選手個々に任せるのではなく、チーム全体で点を取れる状況をつくっていかなければなりません。新井監督がよく口にする『一丸』という言葉のように、一人ひとりがバラバラになるのではなく、一丸となって必死に戦う、そんな姿勢を見せてほしいものです。

 カープにとってここからが正念場です。大きな連勝をしてほしいという思いもありますが、とにかく首脳陣、選手たちは1試合1試合に対して、どう準備してどう入っていくかを考えてもらいたいと思います。

 チームが浮上するために、そして、自分たちが準備してきたことをしっかり出すためにはどうすれば良いか。自分がやってきたことに対して自信を持ってプレーしてほしいと思います。