今シーズン、プロ7年目を迎えた大盛穂。育成出身の苦労人が今シーズン、確かな存在感を放っている。代走・守備固めで確実に仕事をこなす男は、打撃で結果を残してレギュラー争いを演じている。チームに欠かせない戦力となり、プロ野球選手として勝負どころを迎えている背番号59に自身のプレーに対する意識、そして反骨心を養った育成時代について聞いた。(全2回/第1回)
◆大胆に冷静にプレー
─今季はキャリアハイの出場試合数を更新しています。ここまでの自身を振り返ってみていかがですか?
「交流戦でチャンスをもらったタイミングで良い結果を残せたので、今の出場試合につながっていると思います」
─プロ7年目のシーズンとなりますが、手応えを感じていますか?
「そうですね。今年はキャンプから感じが良くて、試合の中で自分の磨いてきた技術をいかに発揮できるかという思いでした。中でも打撃は良い感触でした」
─2年連続で近藤健介選手(ソフトバンク)、西川龍馬選手(オリックス)らとの自主トレに参加されています。その効果はどのようなものですか?
「一番は体の使い方ですね。いろいろ教わったのですが、昨年は初めてということもあり、自分の中に落とし込めない部分がありました。ですが、今年に関してはある程度理解できた上で身になってきているのかなと思います」
─打撃面で一番意識しているポイントがあれば聞かせてください。
「8割の力感でコンタクトすることです。それが良い結果につながっていると感じています。これまでは初球はフルスイング、追い込まれてアプローチを変えていたのですが、今年に限っては初球からコンタクトを重視しています。結果が出たことである程度自信になっている部分もあります」
─一方で、大盛選手の武器である守備・走塁ですが、途中出場からでも存在感を発揮されています。
「途中出場の時はいつも、やってはならないことをまず考えています。あとは点数、ゲーム展開、相手投手などを頭に入れることも当然ですが、それらを踏まえて、積極的なプレーを意識しています」
─積極的な意識がポイントなのですね。
「代走にしても、途中守備にしても、他の選手と同じことをやっていても力を発揮できないと思っています。『自分にしかできないことを、しっかり試合の中でやる』といつも考えています」
─今季印象に残っている自身のプレーがあれば教えてください。
「佐藤柳之介が初勝利した中日戦(6月29日・バンテリン)でセンターを守っていて、左中間に飛び込んで捕球(8回裏)できたプレーです。あのプレーは、『何が何でも捕ってやろう』という気持ちがプレーにも出たと思っています。もう1つは、甲子園での阪神戦(5月16日)です。二塁ランナーで代走に出たのですが、ホームインできた走塁(9回2死二塁からモンテロのセンター前安打で本塁生還)印象に残っています」
─球場が沸くホームイン時のヘッドスライディングですが、意識されていることは?
「まず、打球を見て走りながらスライディングの形をイメージします。次に相手捕手の動きを見ます。たとえば外野からの送球があれば『一塁側なのか、三塁側なのか』を確認して、捕手がどちら側に寄っているか? を見た上で捕手を避けながら、飛び込む際に『左手、右手どちらを伸ばすか?』ということを考えています」
─レギュラー争いも激しいですが、どんなことを心がけていきたいですか?
「大胆に冷静に、です。しっかりメリハリをつけて、自分の持てるものを発揮すること、やれることをしっかりやる。そういう部分は常に考えながら、チームのプラスに働くようなプレーをしていきたいです」
(後編へ続く)