思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。

 今回は、今年で4回目の実施となった、NPB『現役ドラフト』についてを、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

現役ドラフトでカープに入団。背番号69を背負う辰見鴻之介の想像図(イラスト・オギリマサホ)

◆ファンが感じる、“現役ドラフト選手”への思い

 12月9日。仕事から帰宅してニュースを見た私は、大道温貴がヤクルトに行き、楽天の辰見鴻之介がカープに来ることを知った。現役ドラフトの話だ。

 2022年に始まった現役ドラフトは、「出場機会に恵まれない選手が移籍することで活躍できるように」という目的で導入され、今年で4回目を迎える。各球団から示されたリストに基づき指名が行われるが、新人選手のドラフトと異なり非公開で行われるため、ファンが知ることができるのは、全ての結果が出てからのこととなる。

 そんなわけでここ数年、現役ドラフトの日は何だかソワソワして落ち着かない。どんな選手がカープに来るのだろうかという期待の一方、必ず1人はカープから別球団に移籍することが決まっているからだ。

 これまでカープから現役ドラフトで他球団に移籍したのは、正隨優弥(楽天へ)、中村祐太(西武へ)、矢崎拓也(ヤクルトへ)、そして今回の大道の4名。一方、カープに来たのは戸根千明(巨人から)、内間拓馬(楽天から)、山足達也(オリックスから)、鈴木健矢(日本ハムから)、そして今回の辰見の5名となる。来た方が1名多いのは、昨年の現役ドラフトで、カープが12球団で初めて2巡目指名を行ったからだ。

 カープに来てくれた選手の活躍を期待するのはもちろんなのだが、カープから他球団に移籍した選手に活躍して欲しいという気持ちが強くある。そのためここ2、3年、正隨の出場する二軍の試合を観に戸田球場へ、中村の登板を観にベルーナドームへ、矢崎の登板を観に神宮球場へ、と各地へ足を運んだ。残念ながら正隨は2023年オフに戦力外通告を受け現役引退したが、中村と矢崎はともに登板数を増やして存在感を示している。

 この現役ドラフトについては、現在でも賛否両論がある。中村や矢崎、他球団で言えば細川成也(DeNA→中日)や大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)のように、移籍先で大きく成績を伸ばす選手もいる一方で、短期間で戦力外となってしまう選手もいるからだ。

 カープでも、内間、山足は移籍後1年で戦力外となり、戸根も移籍1年目は登板数を伸ばしたものの、2年目の2024年は一軍登板がなく戦力外通告を受けた。しかし一方で、鈴木は移籍1年目の今年、2024年シーズンよりも登板数を増やし、2勝0敗、防御率1.89の好成績を残している。単に結果だけを見れば、現役ドラフトを手放しで歓迎するわけにはいかないのかもしれないが、それでも『出場機会が増えて活躍できる』という利点の方に期待したいと思う。

 12月19日、辰見の入団会見がマツダ スタジアムで行われた。今シーズン、イースタンリーグで盗塁王に輝いた辰見は「最低でも2桁は盗塁したい」と抱負を語っていた。私は2年前、上で述べた戸田球場でのヤクルト対楽天戦で、辰見のプレーを見たことがある。四球で出塁した銀次の代走で途中出場した辰見は、盗塁に成功した後、茂木栄五郎のヒットでホームに帰還した。その後、自らも二塁打を放つなど、走攻守にわたって活躍していた記憶がある。

 2026年シーズン、鈴木や辰見の活躍を期待するとともに、移籍した大道、中村、矢崎ら現役ドラフト移籍組の活躍を見守っていきたい。