2025年シーズン、一軍で大きく飛躍を見せた中村奨成。背水で臨んだ今季、打撃フォーム大幅変更など様々な変化に挑んだ。プロ8年目にして一軍で結果を残し、輝きを放ち始めた背番号96に変化の裏側、苦悩、決断など、今季を振り返りながら語ってもらった。(全3回/第2回)
◆とにかく早く一軍に戻りたい。その一心だった
─スタメンが増え、4打席前後立てることは良い影響があったのでしょうか。
「もちろん4打席立たせてもらえるのは違いますね。最初は、使ってもらっているという感覚が強くありました。1打席目、2打席目で打てなかったら3打席目で代打を送られることも経験しています。今季も最初の時期は、マイナスな考えもあったかもしれません」
─感覚的に上向いてきた時期は?
「4月頃から出させていただいて、交流戦あたりが全くダメでした。それでも、今季は打撃フォームに手応えを感じていたので、『もう、どうなろうと今取り組んでいることを続けよう』と覚悟してプレーを続けていました。そこから感覚が良くなってきたのは夏頃だったと思います」
─7月に守備時のプレーで右肩を負傷して一時離脱もありました。
「その時は大盛(穂)さんの調子も良かったですし、他にもたくさん外野手はいます。なので『また昨年までのようになってしまうのかな……』と考えてしまうこともありました。せっかくスタメンのチャンスをもらった中でのケガだったので……。ケガをしてしまったプレーに関して後悔はありませんが、『また他の選手にポジションを……』と考えると悔しい気持ちでした。リハビリ中は、とにかく早く一軍に戻りたいという一心でした」
─8月に復帰後は1番でのスタメンが続きました。
「1番の経験はありましたが、プロでこんなに1番で出ることはありませんでした。後ろにファビアン、小園(海斗)だったり良い打者がたくさんいるので、とにかく出塁してチームに勢いを持ってこれるように、と常に考えていました。1番として、1打席目に良い当たりを打てば、その後も続きやすいと思いますし、変なスイングをしたりしないように心がけていました」
─第2打席以降の打率が良いデータが残っています。
「第1打席で打てていないのはコーチの方々からも指摘されていました。2打席目以降で打てているのは、最初に球筋を見れたり、変化球を見れたり、それが大きいと思います。やはり映像で見るのと実際の球は違いますからね。心の余裕も出ていたことも比較的良い打率が残っている要因かもしれないです」
(第3回へ続く)

