株式会社エイジェックスポーツマネジメントで、エイジェックダンスアカデミーの運営・指導を担当する髙坂志歩さん。 幼稚園からバトントワリングを始め、野球独立リーグのチアチームで活躍するなど、人生の大半をダンスと共に歩んできた。 今回は、彼女のバックグラウンドと、指導者として子どもたちに注ぐ情熱、そしてアカデミーを通じて描く未来について話を聞いた。
髙坂さんのダンスの原点は、幼稚園の課外クラブで始めた『バトントワリング』にある。 人見知りをしない活発な少女はすぐにその才能を伸ばし、小学校時代には世界大会に出場する強豪チームに所属。土日も平日もバトン中心の生活を送った。 中学校でもバトン漬けの毎日で、学校生活よりもバトンでの記憶が濃いと語る。
高校はバトンの名門・山村国際高へ推薦入学した。「高校時代の記憶がないほど集中していた」と語る通り 、朝・昼・夜と練習を重ねるストイックな3年間を過ごした。その努力は実を結び、高校3年時には全国大会で金賞(4位・ノードロップ賞)を受賞 。チーム歴代最高順位という輝かしい実績を残した。
高校卒業後、一度は「燃え尽き症候群」でバトンを離れた髙坂さん。テーマパークダンサーを目指してオーディションを受け続けたが、高身長のダンサーの方が重用されやすいという現実を目にし、悔しい思いを経験する。
転機が訪れたのは、地元・埼玉県に発足した、BCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズのチアチーム『B girls』への加入だった。 発足メンバーとして活動する中で、彼女は自身の踊り方が、会場を大きく使う『チアダンス』に向いていることに気づく。 「個性を大事にする」というチームの方針もあり、バトンの技術もパフォーマンスに取り入れながら、プロのパフォーマーとしての地位を確立した。
2023年からはチームを運営するエイジェックスポーツマネジメントへ社員として入社した。チームのプロモーション業務を行いながら、自身のパフォーマーとしての経験を次世代に伝えるべく指導にあたっている 。
現在、3歳から中学生までを対象としたチアスクール(エイジェックダンスアカデミー・ADS)の指導を担当している髙坂さん。 彼女が指導において最も大切にしているのは、「子どもたちのやる気を引き出すこと」だ。
大学時代に学んだ保育の基礎知識や、子ども好きな性格を活かし、一人ひとりに伝わる『言葉選び』を工夫している。「ただ怒るのではなく、やる気を損なわないように導くことが大切」と語るその眼差しは、教育者そのものだ。
髙坂さんがADSを通じて子どもたちに願うのは、ジャンルを問わず「ダンスを長く続けてほしい」ということだ。 「大人になってプロを目指したいと思った時に、ブランクがあると大変だからこそ、何かしらの形でダンスを好きでいてほしい」という思いを持っている。
髙坂さんには、ADSの活動を通じて実現したい2つの大きな目標がある。
K-POPの流行などによって競技人口は拡大している一方で、バトンやチアの競技人口減少を危惧している。ADSを通じて基礎を学べる環境を整え、ダンスを志す人を増やしたいと考える。また、「パフォーマーという仕事がまだ社会的に確立されていない」と感じている彼女は、ダンサーが安心して活動できる環境づくりも目指していると語る。
『B girls』からは、NPBのチアチームへ進むメンバーも輩出されており、ADSには夢への階段を登るための土壌がある。 確かな技術と、挫折を知るからこその優しさを持つ髙坂さんは、次世代の夢を現実にすべく、奮闘を続けている。

