◆物事をポジティブに捉えることで、結果をより引き寄せることができている

─ただ、その後に進学した大阪体育大で挫折を味わったそうですね。

 「中学のときはタクと2トップを組んで県大会で優勝したり、高校時代も無我夢中でサッカーに打ち込んできました。それが大学に入って初めて試合に出られないというのを味わって……。レベルの高い大学なのである程度は覚悟していたんですけど、いざそれに直面すると辛い部分もありました」

─どう乗り越えていったのですか?

 「母親がむちゃくちゃポジティブなんですよ。例えば僕が試合に出られないときでも、となりで『温存、温存』と(笑)。自分が出ていない試合で大阪体育大が負けたら『あんたが出てないから負けたんや』とか。無理やりにでも、全てのことをポジティブに捉える人なんです」

─今の浅野選手の明るい雰囲気はお母様譲りですか?

 「間違いなくそうだと思います。というか、両親二人ですね。むちゃくちゃポジティブですから。両親には感謝しています。物事をポジティブに捉えることで、結果をより引き寄せることができていると思います」

─その後、チーム内ではプレースキックを任され、インカレ3位、総理大臣杯準優勝など結果も出始めました。

 「でもプロになれるという手応えは、まったくなかったですね。というより、プロ自体をあまり意識していなかったです。当時は大学サッカーを必死にやろうという気持ちの方が強かったので、スカウトが来ていなくても変な焦りはなかったです」

─結果的に、それが良かったのかもしれないですね。ではプロ入りが決まったときに、拓磨選手からは何と言われましたか?

 「『とりあえず、おめでとうやな』という連絡が来たような気がします。覚えているのは僕の大学の費用はタクが全部出してくれていたので、『なんでもいいから、早く活躍して大学の学費を返せ』と。それだけは、よく覚えていますね(笑)」

─仲の良さが伝わってきます。

 「もう、むちゃくちゃ仲は良いですよ。ケンカは毎日のようにやっていましたし、それこそ兄弟の誰かが必ずケンカはしていましたけど。でも、全員ボケてるので(笑)、ケンカをしてもすぐに忘れて、何事もなかったかのように一緒に遊んでいました」

◆切り込むだけではなく積極的にゴールを狙っていきたい

─そういえば浅野選手のゴールに合わせるかのように、拓磨選手もセルビア1部リーグでゴールを量産していますね。

 「自分が点を取ると、タクも毎回点を取るんですよ。『おい!』って感じです。話題が半減するやんけって(笑)」

─浅野選手は得点とアシスト、どちらに比重を置いているのでしょうか?

 「得点です。点を取りたいです。攻撃のところで自分がスイッチを入れられるような存在にならなければダメですよね。縦への推進力が持ち味だと思うんですけど、切り込むだけではなく積極的にゴールを狙っていきたいと思っています」

―水戸では34試合で4得点でした。現在はルヴァン杯も合わせて5得点(9月14日現在)。良いペースにも思えます。

 「でも札幌戦までは、次の1点を取る難しさを感じていました。横浜FM戦では決定機を外してしまいましたし、札幌戦で4点目を取るまでは『次の1点が取れたら勢いづくかも』といった、モヤモヤした気持ちを抱えていた部分もありました。相手チームに少しずつ自分のデータが入っていると感じますし、試合を重ねるごとにゴールの難しさを感じています。でもメッシ(バルセロナ)とかは全員に情報が入っていてもあれだけ結果を出しますし、分かっていても止めることができない。それが本当のドリブラーだと思うので、自分もそこを目指したいです」

─今後、巻き返すには浅野選手の力は必要不可欠です。今後に向けての決意、またサポーターへのメッセージをお願いします。

 「サンフレッチェと言えば浅野と言われるくらい抜け出さないといけないと思うので、まだまだやり足りないです。そういう選手になれるよう努力し続けるので、サポーターの方にもぜひ応援していただけたらと思います。まだまだ大変な時期が続きますけど、一緒に戦っていきましょう!」