多くの育成出身選手、若手選手が一軍でのプレー機会を得た今シーズンのカープ。そんな若手選手たちが生活の拠点とするのが、廿日市市にある『大野寮』だ。ここで長く寮長を務めてきた道原裕幸氏は、数々の選手たちが寮を巣立ち、一軍の舞台へと羽ばたいていく姿を見送ってきた。
長年にわたって若手選手を身近で見てきた道原氏が語る、成長する選手に共通するものとは。大野寮での日々を知る道原氏の言葉から、カープの若手育成について改めて紐解いていく。
(『広島アスリートマガジン』2024年7月号掲載記事を再編集)
◆心掛けたのは、「成功した選手たちの行動を若手に伝えること」
大野寮では数多くの若い選手たちを見てきましたが、特に印象に残っているのは、鈴木誠也(現カブス)ですね。
彼は室内練習場でずっとバットを振り、門限を過ぎても寮の入り口のわずかな灯りの下でスイングを続けていました。3年ほど寮生活をしていたと記憶していますが、すさまじい練習量だったことが忘れられません。
また、菊池涼介も印象的です。彼は2012年に入寮してきましたが、初日から新人選手の先頭に立って室内練習場でバッティング練習をしていました。
このように、成功する選手に共通しているのは、個人練習をいかにやっているか? だと思っています。ですので寮の選手たちには、全体練習のあとの個人練習の大切さを必ず伝えるようにしています。
生活面で印象的な選手が坂倉将吾です。彼はプロ1年目から、朝起きてきたら朝食前に必ず30分程度散歩していました。練習も良くやっていましたが、なかなか高卒1年目からこのような自分のルーティンを持っていて、自己管理ができている選手も珍しかったです。
栗林良吏も印象的ですね。彼は大野寮にいた期間は短かったですが、トイレのスリッパを必ずきちんとそろえるなど、細かな面の気遣いができる選手でした。プレーの実力はみなさん周知の通りですが、普段の生活において何も言うことはない、素晴らしい選手です。彼はサインにも「謙虚」と書いていましたが、まさにその通りだなと思います(笑)。
もう1つ、プロ野球選手として成功している選手の共通点はよく食べること。過去見てきた選手たちでも、食べる選手は活躍しています。
丸佳浩(現巨人)、前田健太(現楽天)は、見ていてすごいなと思うくらい食べていて印象に残っています。やはりプロ野球選手は体が資本ですし、体力勝負です。よく食べる選手たちが活躍する姿を見てきているだけに寮の選手たちには「朝食だけは絶対に食べなさい」と厳しく指導していました。
そしてもうひとつ、伸びる選手たちは皆『素直』な子が多かったように思います。これもまた、活躍した選手に共通して言えることなのかもしれません。
◆道原裕幸(みちはら・ひろゆき)
1949年5月30日生、山口県出身。
桜ケ丘高_芝浦工大_広島(1971年ドラフト1位-1984年引退)
現役時代は捕手として1975年の初優勝に貢献し、黄金時代の投手陣を支えた。現役引退後はコーチに就任し、2010年まで若手指導に尽力。2011年から2024年まで大野寮寮長を務めた。
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