J1リーグ開幕から3カ月、10月21日までは公式戦7連勝と波に乗ったサンフレッチェ広島。課題と言われてきた得点力も、12節を終えてリーグ2位の29得点と向上し、失点の少なさでもリーグ全体で上位につけている。ここでは、クラブOB・吉田安孝氏が独自の視点で今季のサンフレッチェを分析。故障者が続出しながらも好調を維持できている、その要因などを解説する。(全2回/第1回)

今季はここまで1ゴール3アシスト。本職のWBだけでなく、3バックの一角も担っている東俊希
今季はここまで1ゴール3アシスト。本職のWBだけでなく、3バックの一角も担っている東俊希

◆どのポジションでも自分の強みを活かす東、相手に合わせて自在に変化する川辺

 9月12日から10月17日にかけて公式戦7連勝を達成したサンフレッチェ。今シーズンも過酷な連戦が続くなか、リーグ戦・第11節の長崎戦は残念な結果に終わってしまいましたが、ホームに清水を迎えた第12節では4得点をあげて快勝しました。チームは現在8勝2分2敗でリーグ3位。勝点は首位の町田と1差と良い位置につけています。

 塩谷司、佐々木翔、山﨑大地らDFラインにケガ人が続出するなかで、残された選手が複数ポジションを担って活躍するという、実にサンフレッチェらしい戦いができていることも、好調の要因のひとつでしょう。

 なかでも特筆するべきは、東俊希の存在感です。これまで鉄板と言われてきた塩谷、佐々木、荒木隼人の3バック、しかも精神的支柱としての存在感も大きかったベテランふたりが離脱するなか、本職ではないCBというポジションで非常に高い能力を発揮しています。

 東の良さは、なんといっても左足のキックの質です。WBとしてプレーしているときもその質の高さで多くのゴールをアシストしてきましたが、ポジションを変えてもその精度の高さは健在です。最終ラインからの縦パスや裏への的確なパスなど、ビルドアップの面でもチームにとって大きな武器の一つになっています。

 チーム状況によって、WB、ボランチ、最終ラインとどのポジションでも高い能力を発揮し、自分の武器を活かしてチームに貢献できる。これは誰にでもできることではありません。東にしかできないプレーで、鉄板と言われてきた3バックのポジションを『東のカラー』にしている。そんな印象を受けています。

 中盤の選手では、やはり川辺駿の存在が一際目立っているように感じます。

 攻守に渡る献身的なプレーももちろんですが、ボランチでコンビを組む相手によって自分のプレーに変化を加えているところにも、川辺らしさが発揮されていますね。中島洋太朗と組んでも松本泰志と組んでも、相手がプレーしやすいように自分を変化させることができる。相手の良さを引き出すために、非常にうまく自身のプレーをコントロールしていると感じます。

 東も川辺も、彼ら自身の技術が高く、サッカー戦術に長けていて経験も豊富です。全てにおいてサッカーのレベルが高いからこそ、あの素晴らしいプレーの数々が実現できているのだと思います。

(後編へ続く)

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。