◆打撃向上につながった白濱裕太選手の助言

 自主トレには、山岡泰輔選手(オリックス)、森原康平選手、(楽天)、高橋礼選手(ソフトバンク)など、一軍で活躍する投手も来ていましたが、彼らに「僕をどう打ち取りますか?」と聞いていました。質問を通して、自分の弱い部分、打席で狙うべきボールを知ろうとしていたのだと思います。

 ちなみに12月の自主トレでの打撃練習、そしてラプソードの計測データの結果、羽月選手の弱点となるコースが判明しました。ただ、1月に自主トレに来た時には、それを見事に克服していました。自分なりに意識して練習していたのだと思います。

 もう一つ、羽月選手のクレバーな部分が分かるエピソードを話したいと思います。彼は高卒1年目で二軍ではありますが、65本の安打を放ち、打率.300の高いアベレージを残しました。自主トレ中に、「なぜ3割打てたと思う?」と聞くと、「ベンチスタートの時は、白濱(裕太)さんに『配球』についてずっと質問していました」と返ってきました。

 捕手キャリアの長い白濱裕太選手に配球について聞くことで、場面に応じてどの球を狙ったら良いか、とても参考になったとのことでした。そして、そのアドバイスを出場機会が巡ってきた時に生かしていたようです。

 今の若い選手は、がんばっていますとは言いますが、何をどうがんばっているのか答えられないケースも多いものです。その中で、羽月選手は、結果を出すためにどうしたらいいかをしっかりと考えて行動する選手だなと、この話を聞いて感じました。

 お茶目な一面がクローズアップされることも多いですが、彼にはアホを演じられる賢さがあります。求められているのを分かったうえで、お茶目な行動をとっているように感じます。そして、こういうタイプは、年上から可愛がられる傾向にあります。実際、自主トレでも数多くの選手から可愛がられていました。どの世界にも通じることですが、人から情報やアドバイスを得るときに、愛想の良さは大きな武器となります。そういう意味でも羽月選手は器用な選手だと言えますね。