◆菊池涼介選手を超えるために必要なもの

 羽月選手は一軍デビュー戦で攻守にわたる活躍で勝利に貢献しましたが、彼の能力の高さを考えると、そこまで驚きませんでした。本人はめちゃくちゃ緊張していたようですが。

 そして、羽月選手が一軍で活躍するために、必ず超えないといけない壁は、セカンドのレギュラー·菊池涼介選手です。10月15日の巨人戦で、二塁手として、『同一シーズン434連続守備機会無失策』のセ·リーグ新記録を樹立するなど、数々の守備記録を持つ日本最高の二塁手です。この菊池選手をいつか越えなければなりません。

 高い壁には間違いありませんが、セカンドの守備力で考えると、そこまで遜色はないと僕は見ています。羽月選手も守備範囲は広く、守備技術も高いからです。

 必要なのは一軍での『経験値』。能力が高く、適応力も高い選手なので、首脳陣がもう少し我慢して使うことで、才能が開花するのではないかと期待しています。あとは良いグローブと巡り合ってほしいですね。使っているグローブを見ましたが、個人的には改良が必要かなと。グローブを変えたら、もっと守備が上手くなるのではないかと思っています。

 まずは『ポスト菊池涼介』の一番手になってほしいですし、将来的には、髙橋慶彦さんのような三拍子そろった選手になる素質は十分あると思っています。カープの若手を見渡すと、ショートには同級生の小園海斗選手がいます。セカンド·羽月、ショートの小園”のコンビが、現在のレギュラーである“タナキク”コンビからの流れを良い形で受け継いでいってほしいところです。

 高卒2年目にもかかわらず、あれほど考えて野球に取り組める選手は珍しいですし、そういった優れた野球脳を持つ選手を見つけてきたカープのスカウトの方は本当に優秀だと感じています。その羽月選手、10月15日時点で二軍での打率は.338。好結果を残したことで、10月16日に一軍昇格を果たしました。羽月選手にとっては大きなチャンス。一軍の舞台で躍動する背番号69を見せてもらいたいですね。

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高島誠(たかしま・まこと)
広島県東広島市の西条町にある、野球専門のトレーニングジム「Mac's Trainer Room」の代表。オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナー経験があり、現在も数多くのプロ野球選手とトレーナー契約を結んでいる。趣味はパルクールとサウナで、サウナ・スパスペシャリストの資格も持つ。野球トレーニングのオンラインサロンの運営、【英語】x【身体作り】x【野球】がテーマの中学硬式野球チーム「東広島ポニー」に携わるなど、様々な分野で活躍。「Mac's Trainer Room」のYouTubeチャンネルでは、野球トレーニングに関する動画を公開中。
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