オリックス·ブルーウェーブ(現オリックス·バファローズ)、MLBワシントン·ナショナルズのトレーナーを務め、メジャー時代は「マック(高島の愛称)はゴッドハンドを持っている」と高い評価を得たトレーナー·高島誠。この連載では、数々のプロ野球選手を指導してきた経験をもとに、これまで公では語られることのなかった、マック流·野球パフォーマンスアップの秘密を披露していく。

 

◆クレバーな野球脳を持った羽月選手

 野球専門のトレーニングジム「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠です。『Mac高島の超野球塾』の連載をご覧いただき、ありがとうございます。

 2020年のプロ野球ペナントレースも残りわずかとなってきました。カープはチーム成績自体は、少し残念な数字となっていますが、選手一人ひとりに目をうつすと、若い力が台頭してきており、見ていてワクワクします。

 今季、一軍でプレーした若手選手のなかで期待しているのが、高卒2年目の羽月隆太郎選手です。8月7日に初めて一軍に昇格し、同日「2番·セカンド」で即スタメン。デビュー戦で2安打3打点の活躍を見せ、お立ち台も経験しました。

 

 そして、羽月隆太郎選手は、僕が主催する自主トレに来てくれるプロ野球選手の1人です。初対面は昨年12月。トレーニングを担当している正隨優弥選手からの紹介で、自主トレに来てくれました。初対面で印象に残っているのはド派手なジャージ。黄色の蛍光色ジャージに目が痛くなったのを思い出します(笑)。

 冗談はさておき、トレーニングで初めて羽月選手を見たときは、身体能力の高さに驚かされました。瞬発力と跳躍力も抜群でしたが、それ以上に目立ったのは体の使い方のうまさです。

 特に目を引いたのはパルクール(パルクールについてはこちらの動画をご覧ください)の動き。初めて挑戦すると体の使い方に苦戦するものですが、羽月選手は操作性がとにかくうまかったのです。バランス感覚に優れており、体の使い方が器用な選手だという印象を受けました。

 ちなみにこちらが、羽月隆太郎選手がパルクールをしている時の動画です。

 ただ、プロ野球選手である以上、一定以上の身体能力はなければいけません。プロはそこからの争いです。自分に足りない部分をどう補っていけるか、他人が持っている良いものをどう吸収していけるかで、少しずつ成長に差が出てきます。そういう意味では羽月選手は非常にクレバーな選手だといえます。

 そう感じる理由の一つが『情報収集力の高さ』です。プロ野球選手のなかには、こだわりの強さゆえ、情報やアドバイスを取り入れることをためらう選手もいます。ただ、そういった情報のなかには、自分にとって必要なものが混ざっているものです。

 普段、SNSで情報収集しているみなさんも、そうではないでしょうか。情報は飽和していますが、有益な情報が混ざっているからこそ、SNSを利用しているはずです。僕自身もそうです。

 羽月選手は、自分にとって必要な情報にとにかく貪欲でした。自主トレでは、自分に足りないものを持っている選手に、プライドを捨て、素直にアドバイスを求めにいっていました。