◆出来過ぎだったルーキーイヤー

―― ルーキーイヤーとなった今季を振り返っていただきたいのですが、110試合に出場されました。自己評価としてはいかがですか?

「一言で言うと出来過ぎですね。当初は100試合出場を目標にやっていました。これについてはケガがなければ途中出場などもあるので達成できるかもしれないという思いはありました。でも、安打数、打率、本塁打数にしても、自分が思っている以上の結果を残すことができたと感じています」

―― 6月の交流戦の日本ハム戦で4打数4安打をマークされましたが、ここから打撃の調子も上がったように感じます。

「もともと足を上げて打っていたのですが、その時期に右足をもっと上げる打ち方に変えてみて、調子が上向きになりました。前半戦は打席に立つチャンスをもらっていても凡打が続きましたし、打率も2割を切ってしまっていたので「自分の打撃をしよう」とふっ切れました」

―― 足を上げることで具体的にどんな部分が変わったのでしょうか。

「始動が早くなったことと、間がとりやすくなったことです。もともと調子が悪くなると足が上がらなくなってしまうのですが、自分でも知らず知らずのうちに疲れが溜まっていたこともあると思います」

―― 7、8月と打撃が好調でした。その要因はどこにあると思われますか?

「足を上げるフォームがフィットしたこともありますが、夏好きという面も影響したのかもしれません。僕は7月生まれの夏男なので(笑)。高校時代も夏の大会が一番調子が良かったですし、大学時代も春のリーグ戦はイマイチなのに、神宮大会になると良くなっていたので、春先に打てなかったときも「夏場になれば調子が上がってくるかも」と思っていました」

―― 野村謙二郎前監督は相手投手の左右でオーダーを組み替えることが多くありました。しかし田中選手は左投手に対して72打数27安打、打率・375と苦にしていませんでした。

「得意というより嫌いではないという感覚ですね。左投手のときは、体が開かないように意識はしています。昔からそれは心掛けています。アマチュア時代から実践していたことがプロでもうまくハマったのだと思います」

―― 自身で試行錯誤しながら打撃は微調整しているようですが、新井打撃コーチなどからアドバイスをもらうことはあったと思います。

「『足元を狙って低い打球を打て』『積極的に打て』など、いろいろな指導を受けました。実際に指導を受けて実行するのは自分自身なので、やろうと思ったことと、いただいたアドバイスを理解した上で実践していきました」