11月30日にカープ残留を表明したカープの選手会長・田中広輔。ここでは本誌に掲載されたインタビューから、田中広輔がカープで歩んできたその足跡や野球観を探っていく。今回は1年目のシーズンが終了した直後の2014年12月号に掲載されたインタビューを送りする。

即戦力として期待されていた田中広輔選手。1年目から110試合に出場し、打率.292、9本塁打、34打点、10盗塁をマークした。

◆シーズン直後から来季へ向け鍛錬の日々

―― クライマックス・シリーズ(以下CS)が終わり、期間を空けずにフェニックス・リーグに合流されました。

「正直、疲れはありましたね(苦笑)。ですが、参加することは事前に決まっていましたし、体力的にキツくなることはある程度覚悟していました。なので、シーズン中と同じテンション、コンディションで臨むことができました」

―― フェニックス・リーグ合流後、全試合に出場していましたが、どんな部分に課題を置かれて臨んでいたのですか?

「ほぼ毎試合ヒットを打つことができましたが、シーズン中から課題と感じていた得点圏にランナーを置いた場面、そして追い込まれてからの打撃を意識していました。得点圏での打席があまりなかったのは残念でしたが、2ストライクに追い込まれてからの打撃は、自分がやろうとすることが少しはできたかなと思います」

―― 打撃における技術的なことよりもメンタル面に意識を置いた練習ということでしょうか。

「両方ありますが、打席のなかで打つ球をしっかり決めることを意識しました。どちらかと言えば低めが好きなので、シーズン中も低めに手を出してしまうことがよくありました。追い込まれてからの打撃であれば、三振をしないように球を長く見て、低めを振らないことを心掛けていました」

―― 打撃コーチのからの助言を受けての取り組みなんでしょうか?

「それは僕が一年間を通して、多く打席に立って感じたことですね。それをこのフェニックス・リーグで実践しようと思いました」

―― 初めての体験となる日南秋季キャンプですが、いろいろなことにチャレンジできる時間になると思います。どんなところに重点を置きたいと考えていますか?

「打撃にしても守備にしても、基本的な練習をもう一度きっちりとやりたいと思っています。シーズン終盤に疲れが溜まったとき、体が思うように動かないことがありました。疲れが出てくると、どうしても基本的な動作がおろそかになりがちになると感じたので、改めて基本を大事にしたいと思っています」

―― 石井守備・走塁コーチの発案で投手と内野手が役割を入れ替え練習が行っていました。

「あの練習は今まで経験がしたことがなかったので、とても新鮮でしたね。ただ、ずっと野球をやってきているので、投手の役割で動いてみたからといって違和感は感じませんでした。いつもと景色が違う動きも参考になりました」

―― 監督が緒方新監督となりましたが、どのように感じていますか?

「監督が変わったという環境の変化では、「よし、やってやろう」という気持ちはありますが、基本的な考えは変えることなく、自分のやるべきことをしっかりとこなしていこうと思っています。特に練習が劇的に変化したとは感じていないですね」