2020年ドラフトでカープは育成選手を含め、全7選手を指名した。その内、ドラフト1位の栗林良吏(トヨタ自動車)を筆頭に5人が投手の指名となった。そして独立リーグからの指名となったのが、5位指名の行木俊(徳島インディゴソックス)だ。

 ここでは、長年アマチュア球界の好投手たちの球を、実際にブルペンで受けた上で選手を取材し続ける“流しのブルペンキャッチャー”こと安倍昌彦氏が、ドラフト5位指名・行木の特徴について語る。

カープからドラフト5位指名を受けた行木俊投手。

◆素材型の投手として成長に期待

 今年のカープドラフト指名選手の中では唯一、独立リーグ出身となる行木俊投手ですが、実は横芝敬愛高時代にその投球を見たことがあります。当時ははっきりいって球が少し速いぐらいの、体の細い普通の投手でした。直球のスピードは130キロ後半程度だったように思います。ただ腕が長い点、そしてその腕の振りは素晴らしく、良い球がいったときは打者が打ちにくそうにしていました。

 また当時の体重は70キロ程度だったように記憶しています。おそらく独立リーグでしっかりとトレーニングを積むことで、増量にも成功したのでしょう。また球速も高校時代から順調にスピードアップしたようです。そういう意味では、短期間で大きく伸びた選手ということですし、その点もカープのスカウトは着目したのでしょう。

 高校卒業後、厳しい環境である独立リーグに進みましたが、彼にとってはその選択が決して間違いではなかったことを証明できたのではないでしょうか。

 正直変化球に関しては種類、そして精度ともに向上の余地は多いにありますが、まだ19歳の投手ですし、独立リーグでは変化球を鍛えている時間はほとんどなかったのだと思います。プロではまず土台の部分を固めていくのだと思いますが、変化球の習得含めどのような投球スタイルを確立していくか注目していきたいです。

 独立リーグ出身とはいえ荒削りな素材型の投手と見て良いと思いますし、球団もそのつもりで獲得したのでしょう。ファンのみなさんも慌てずに、高校生の投手を獲得したぐらいのつもりで、時間をかけて育成していくイメージで見守ってほしいと思います。