球威が増していくと、思考法も変わっていった。パワーピッチャーを志向するようになったのだ。

 「最初はネットなどの映像でも、変化球中心のピッチャーを見ることが多かったですが、だんだん球の勢いがあるピッチャーの映像を見ることが増えました。ダルビッシュ有さんらに憧れるようになっていきました」

 一気に台頭したのが高校2年の冬からだった。肉体強化と食事の工夫が実り、体重は72キロから79キロにアップ、それがパフォーマンスに直結した。さらに、霞ケ浦高の特徴的な練習である。マウンドの傾斜を使わず平地で行う投球練習だ。しかも、距離は通常の18.44メートルより長い。

 「マウンドの傾斜がないので、体重移動が大事になってきます。体重が乗らないと強い球は投げられません」

 バランスよく立つ、股関節を用いて体重のタメをつくる、肩甲骨を意識して体が前に突っ込まないようにする。そして、左足で力を受け止める。指導力に定評のある高橋祐二監督の理論に耳に傾け、鈴木はピッチングの奥深さに魅せられていった。

 「最初はこういうことが得意ではありませんでしたが、話を聞くうちに、どんどん面白くなっていきました」