◆全体的に手堅い野球を目指している印象

 盗塁は成功すればチャンスが拡大しますが、失敗したときのリスクも少なくありません。それならば確実にバントで送って1点を取りにいく。カード一回り目を見て感じたことは、全体的に手堅い野球を目指しているチームが多いということですね。

 もちろん盗塁というのは出場メンバーの顔ぶれで大きく変わってくるものですから、一概にベンチの作戦だと言い切ることはできません。機動力野球はカープの伝統ですけど、そのときのメンバーのタイプや年齢もあるでしょうし、毎年、確実に足を使った野球ができるわけではありません。

 実際、今年のカープのスタメンのラインナップを見ると、そこまで走塁面を重視して打線を組んでいないことが分かります。そこに特化した選手を起用していない以上、盗塁の数が伸びないのも仕方のないところです。

 ただ、よく「足にスランプはない」と言われるように野球において機動力は大きな武器になりますから、個人的にはもう少し走る方向に舵を切っても良いのかなと思います。カード1、2戦目の先発投手がしっかり試合をつくっているときは、足のある若い選手を3戦目で起用するのも手かもしれません。

 オープン戦を見ても、カープの場合は若手選手を起用しなければ盗塁数が伸びない傾向があります。現状は走れる選手が控えに回っている状況なので、そういう選手を起用しやすくするためにも、もう少しチームの得点力を上げたいですね。