『10』に代表されるように、サッカー界においても度々話題として取り上げられるのが、各選手の背負う背番号だ。ここではサンフレッチェ広島の選手に特化し、時代を彩った名選手の足跡を背番号と共に振り返る。

J 1発出場の試合では、出場時間はわずかながら巧みなドリブルを披露しスタンドを沸かせた。

 今回取り上げる背番号『40』は、使用されたのは近年のみで、歴代でも数人しかつけていない。それでも名前を挙げていくと、印象に残る活躍を見せた選手が多い番号だ。

 最初に40番をつけたのは、2017年のDF丹羽大輝だ。この年のサンフレッチェは開幕から低迷してJ1残留争いを強いられ、6月にはDF塩谷司がUAEのクラブに移籍。守備の戦力を補強する必要に迫られたため、同じ6月にガンバ大阪からの完全移籍で加入して40番を背負った。

 加入発表後に森保一監督が退任するなど揺れるチーム事情の中、18チーム中17位で迎えた第19節で先発して加入後初出場。その後も右サイドバックなどでシーズン終盤まで先発出場を続け、最終的に残留圏ぎりぎりの15位でのJ1残留に大きく貢献した。

 ピッチ外でもクラブに溶け込もうと意欲的だった。接触プレーでの負傷を防止するため、練習からプレーする際はマウスピース(マウスガード)をつけており、ガンバ大阪時代につけていたのはクラブカラーの青色のもの。だがサンフレッチェ移籍が決まると、すぐに紫色を発注し、合流直後から着用していた。プライベートでも、車はマツダのCX-5を購入して「やっぱり広島の車といえば、マツダですよね」と語っていた。背番号を28に変更した2018年7月にFC東京に完全移籍したため、わずか1年の在籍だったが、クラブの危機を救った功労者の一人と言えるだろう。

 2018年は、当時サンフレッチェ広島ユース所属の高校3年生だったMF松本大弥、MF東俊希が、YBCルヴァンカップの数試合で40番をつけてメンバー入り。しかし、いずれも出場機会がなく、背番号40がピッチに立つことはなかった。

 翌2019年はMF川辺駿が背番号40をつけた。2014年にサンフレッチェ広島ユースからトップチームに昇格し、2015年から3年間、ジュビロ磐田に期限付き移籍。復帰1年目の2018年につけていた36番から、この年に40番へと変更した。

 加入直後から中心選手として活躍したジュビロ磐田時代の背番号が40番で、サンフレッチェでも同じ番号になったのを機に、それまでより一段レベルアップした姿を見せた。J1第6節でサンフレッチェでの公式戦初得点を決めると、自身初めてリーグ戦全34試合に出場。背番号をサンフレッチェ伝統の8番に変えた翌2020年も、コロナ禍の変則日程の中で全34試合に出場した。

 2021年途中にスイスのグラスホッパーに完全移籍したが、ここでも40番をつけて活躍した。現在はベルギーのスタンダール・リエージュでプレーしており、川辺にとって40番は飛躍のきっかけとなる縁起の良い背番号のようだ。

 2020年以降の3年間は空き番号だった背番号40は、今季からMF小原基樹がつけている。2023年に愛媛FCからサンフレッチェに完全移籍したが、同年は水戸ホーリーホックに期限付き移籍して経験を積み、今季からサンフレッチェでプレーしている。

 自身初のJ1クラブだが開幕戦でメンバー入りし、第3節で途中出場してJ1デビュー。メンバー外になるときもあるが、少しずつ出場時間を伸ばしている。持ち味の切れ味鋭いドリブルがJ1でも通用するところを見せており、タイトル獲得への貢献が期待されている。