◆吉田正尚と合同自主トレ。ひと回り成長した長距離砲

 —昨季のパ・リーグ首位打者である吉田正尚選手(オリックス)らと自主トレを共にされましたが、収穫等はいかがでしたでしょうか?

「いろいろ学ばせてもらったので、すごく楽しかったですし、ひと回りくらいは成長したんじゃないかと思います(笑)。(敦賀気比高の恩師を通じて)お願いしてもらったら、すぐに吉田さんから連絡がきてOKを出してもらえました。8割方、無理やろうなと思っていたので自分で頼み込んだのにビックリしました(笑)」

—盗みたいポイントがあるからこそ同行を希望されたと思いますが、一番すごいと感じた部分はどこでしょうか?

「バットの使い方です。自分が想像している通りにバットが動いているんですよ。打球を右に飛ばしたかったら、その軌道でバットが出てきますし。僕の場合は思い描いた軌道とズレが出てくるので、そこの差を一番感じました」

—自分が意識していなかった気付き、ポイントはたくさんありましたか?

「ほぼ全部そうですね。タイミングの取り方だったり、今まで自分が考えたことがない、聞いたことがないようなことが出てきたので本当に合同自主トレに参加させてもらって良かったです」

—あれだけ振って率も残せるという部分で、吉田選手はまさに木下選手が求める選手像ですよね?

「二世って呼ばれたいです。言われてみたいです(笑)」

—相当、刺激になったようですね。

「僕が目指している人が目の前で練習されていたので、目標がはっきり見えたというか。どれくらいのレベルになれば一軍でも打てるというのが、だんだんハッキリと見えてきたので、そこは良かったと思います」

—同じく敦賀気比高出身の西川龍馬選手が、二軍スタートとなりました。何かお話はされました?

「野球の話はあまりしていません。話すとしたら高校の話ですね。懐かしい話を(笑)。でもバッティングは見ています。人によってタイプも違いますしバットの振り方も違うんですけど、僕もいろいろな引き出しを持ちたいので、いろんな人のバッティング、体の使い方は見させてもらっています」

—ちなみに大阪出身の木下選手が敦賀気比高に進学した経緯を教えてください。

「僕が中学2年くらいだったと思うんですけど、大阪桐蔭高と敦賀気比高がすごい打ち合いをした試合があったじゃないですか(2014年8月24日、15対9で大阪桐蔭高が勝利)。僕は大阪出身なので大阪桐蔭高がめっちゃ強いというのは分かっていたんですけど、敦賀気比高のことはまったく知らなくて。その大阪桐蔭高に対してむっちゃ良い試合をしていたので、そこからちょっと気になり始めたんです。推薦で良いから掛かればなと思っているときに監督が見に来てくれたので、その流れで進学することになりました」

—高校2年のときヒジを痛めて、投手から外野手に転向したときの気持ちはどうでしたか?

「投手をやりたいという気持ちがめっちゃあったので、残念な気持ちはありました。高校2年のときに背番号1を付けて投げさせてもらって、『来年の夏にまた甲子園に戻りたい』と思っていたので、それを叶えることができなくて悔しかったです。正直、今でも投手をやりたいんです。マウンドに立って投げてみたいですね」

—プロを意識したのは、いつ頃ですか?

「本格的には高校2年くらいですかね。中学のときから『プロ野球選手になりたい』とは言っていましたけど」

—その頃は、まさか打者として入るとは思っていなかったでしょうね。

「まったく思っていなかったです(笑)」

—その選手が今では全打席で本塁打を狙っているというのが面白いですね。

「そうですね。投手をやるつもりだったので面白いです(笑)」

—昨年は元育成の大盛穂選手らの活躍もありましたが、改めて今季に向けての意気込みをお願いします。

「合同自主トレのときに吉田選手や西川(遥輝・日本ハム)選手と約束をしたんです。今年中に支配下登録されて一軍で初ヒットを打つと。支配下登録されないと一軍には絶対に上がれないので、まずはそこですね。絶対に達成したいと思います」

—今年も本塁打を狙うスタイルは貫きますか?

「もちろん狙うのはホームランです。追い込まれるまではライト、センター。追い込まれたらレフトに放り込むというイメージは変えません!」

◆プロフィール
木下元秀 124
■きのした・もとひで ■2001年7月25日生(20歳)■183cm/87kg    
■左投左打/外野手 ■大阪府出身 ■敦賀気比高-広島(2019年育成選手ドラフト2位)