◆プロ8年目でますます噛み締める、精神面の重要性

─精神面の重要性については二度目の護摩行も経験した新井選手自身が大切にしているところですね。

「『心・技・体』という言葉がありますが『心』はすごく大事だな、とプロ8年目を迎えてここまでやってきた経験上、すごく思いますね。特にこれに気をつけよう、というのはありませんがいろんな経験をしていくうちに自分の考え方が変わってきました。楽天の野村克也監督の言葉じゃないですが『考え方が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる』っていう、そういう点については実感できるところがありますね。やっぱり僕は楽しいことが大好きですから。お酒大好きですし、どんちゃん騒ぎも大好きです。でも、それでも翌日には試合がある訳ですから。常に野球のことを考えて、野球を第一に考えて行動していけば、それが習慣になっていく。昔だとつい楽しいことが先に来ていた時もあったと思うんです。今はいろいろと経験していく中で考え方が変わってきました。また、僕よりも若い選手が多くなってきました。同世代も多い中で『どこかで見られている』という意識が僕の中にあると思うんです。だから練習中も、言葉ひとつにしても見られている、とか聴かれてるというのがあるんです。やっぱり年配の人がいい加減なことをしてたら年下の選手もちゃらんぽらんになると思いますし、上の人の影響は大きいですからね」

─そういう意味では黒田投手を筆頭に素晴らしい仲間に恵まれていますね。

「恵まれてますね。黒田さんは一緒にいて勉強になることがたくさんあります。僕もラッキーだなと思います。黒田さんが先輩にいたから、練習に取り組む姿勢とか考え方とかを見習うことができました。同級生もいい奴ばかりで、まあアホな奴ばっかりで個性の強い連中がいつもバカみたいなこと言ってますけど、でもやっぱりそれも自分にとっての財産なんです。同級生でこれだけ人数がいて仲が良いということに感謝したいですね」

─素晴らしいチームメートと一緒にやっていけば、優勝も見えてきそうな勢いです。

「昨シーズン、最下位で周りからそういうチームに見られるじゃないですか。『次の相手は最下位だから2勝1敗、うまくいけば3連勝してやろうや』と。そう思われることがすごくむかつく、というか、今は反骨心がすごく強いですね。まあ、見とけよ、と。みんなで頑張って……。報道陣のみなさんも見ていてください」

─最後に2006年シーズンに向けての、キングの決意表明をお願いします

「多分、マークされると思うんですよ。そういう中で自分がいかにできるかがポイントになると思います。またホームラン王については、昨年は獲れましたが今のチームのスローガン『ALL IN』の下では、みんなで一つになって勝つことだけに執着して向かっていかなければいけません。もちろん2年連続で獲ればそれに越したことはありませんが、あまりそういうことを意識せず、目の前の試合に勝つためにランナーを進めたり、最悪でもバットに当てるとか、自分本位にならないことを念頭にプレーしたいです」

─ホームラン王争いに関してはやはり金本さんが最大のライバルでしょうか?

「いやいや。ライバルなんて言えないですよ。たかが一年間。ホームラン王も一度ですから。言えないですけど、ライバルというより今年の目標として(金本さんの存在を)励みにしたいと思います」

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