5月4日現在、開幕から無敗を継続しているサンフレッチェ広島。新スタジアム元年となった今季、ホーム戦は毎試合2万人を超えるファン・サポーターが駆けつけるなど期待と注目の高さを感じさせている。

 ここではサンフレッチェ広島OBの吉田安孝氏が、今注目の選手をピックアップ。今回取り上げるのは、今季加入の新戦力・大橋祐紀。チーム最多、リーグ3位の7得点を挙げている(5月4日時点)ストライカーの魅力に迫る。

加入1年目から得点源として活躍。加藤陸次樹との中央大ラインにも注目が集まっている。

◆テクニック、フィジカル、度胸。どれをとっても素晴らしい

 今シーズンもサンフレッチェは、影の立役者とも言うべき、『目立たないけれど、勝利に大きく貢献する』素晴らしい選手たちが活躍してくれています。ただ、開幕からここまでの試合を見ていると、やはりこの選手の名前を挙げないわけにはいかないでしょう。

 「大橋祐紀がいなかったら……」負傷者が続いたなか、そう考えるとぞっとしてしまいます。チームがピンチの状況でも不安を感じさせないのは、大橋の存在が非常に大きいと思います。テクニック、シュート、左右どちらの足でも得点できる能力の高さ。そして、90分を通して運動量が落ちない体力。どれをとっても本当に素晴らしい選手だと感じます。

 4月3日の町田戦(◯2ー1)でも、相手に囲まれたなかから両足を使ったテクニカルなタッチで抜け出して、最終的には右足でゴールを決めました。1秒にも満たないわずかな時間でリズムをつくり、ゴールへ流し込むプレーはお見事の一言です。

 また、古巣・湘南との一戦(4月7日、◯2ー0)でも、オフサイドラインぎりぎりの位置から加藤陸次樹との連携で追加点を奪っています。まさに相手DF泣かせの、厳しい位置からの素晴らしいゴールでした。サンフレッチェのサッカーにもフィットしていますし、攻撃だけでなく、守備の面でも自身のストロングを発揮してくれているところも頼もしいと思います。

 そして、ここまで大橋がリーグ戦で挙げた7得点のうち、2得点はPKでした。そのどちらもゴールの真ん中を狙い、見事に決め切っています。当然、相手チームもスカウティング(分析)してくるなかで、2回続けて真ん中を狙うというのは、なかなかできることではありません。

 大橋自身の胸中は想像するしかありませんが、2回連続でゴールのど真ん中を狙う、その『度胸』にも、サンフレッチェのストライカーらしい魅力を感じずにはいられません。これからの活躍にも期待したいと思います。