2007年からGKの下田崇選手に代わり選手会長に就任した佐藤寿人選手。

◆優勝してJ1に戻ることしか考えていません

— 今年はJ2での戦いになります。寿人選手は2004年に仙台でJ2を戦っていますが、そのときと今では何が違うと思いますか?

「僕が仙台でJ2に降格したときは、選手がいろいろ代わってやろうとするサッカーが浸透しない形でシーズンに入ってしまいました。でも広島は前回落ちたときも今回も、ほとんどの選手がチームに残っています。それはやっぱり強みだと思うんです。京都が1年で復帰したのも主力のほとんどが残って、補強しなければいけないポイントを補強して良い形でJ2を戦い抜いたからだと思っています。だから僕たちも今やっているサッカーでJ2を勝ち抜きたいし、とにかく1つでも多くのポイントを取って昇格を決めることが大切です」

— 寿人選手は選手会長と同時に、もしかすると今季はキャプテンという立場でチームを引っ張ることになるかもしれません。

「選手会長は、たぶん今年もやると思います。ただキャプテンに関しては戸田(和幸)さんでもカズ(森﨑和幸)でも(森﨑)浩司でも僕でも、誰でもいいと思うんです。大切なのは選手個々がしっかりと責任を持ってやること。誰かに頼るのではなく、チーム全員がお互いを助け合いながら勝利に向けてハードワークしないといけません。当然、人によっては感情を前面に出せない人もいるけど、それが悪いわけじゃないんです。声で引っ張る選手がいたりプレーで引っ張る選手がいたり、いろんなタイプがいる中で、それぞれがチームを良い方向に導いていけばいい。それができれば本当に良いチームになるし、僕も選手会長としてうまくまとめていきたいと思います」

— プレー面ではウェズレイ選手が退団し、新外国人選手の補強もあると思いますが、寿人選手にはよりエースとしての期待も高まります。

「ウェズレイは本当に素晴らしいパートナーで、一緒にプレーできた2年間は毎試合が勉強でした。ウェズレイが広島に残してくれたものは、僕だけじゃなくて若手やサポーターにも強く印象に残っていると思います。今季一緒にできないのは本当に寂しいです。ただこれからは、誰と組んでもチームとしてしっかりと戦えるようにしないといけない。ウェズレイくらいのスーパーな助っ人が来てくれれば一番いいけど、あれだけの選手はなかなかいません。もしかすると状況に応じては僕と(平繁)龍一になるかもしれないし、いろんなパターンがある中で、どんなときもチームとして戦うことをベースにやっていきたいです。FWでしっかり点を挙げたいと思います」

— J2では仙台とも戦うことになりますが、そのあたりの想いは複雑なのではありませんか?

「そうですね。仙台のサポーターの人たちも、対戦するのはたぶん複雑だと思います。ただ仙台は仙台で昇格しないといけないし、そういう意味ではドライにやってくるはずです。拍手されるのはあまりうれしくないし、むしろ思いっきりブーイングを受けたいですね。あんな形でチームを出てしまったので、正直『裏切り者』と言われてもいいくらいの覚悟は持っています。あの素晴らしいサポーターが、どれだけすごいブーイングをしてくれるのか楽しみです。その中で一つ言えるのは、点を取ってもたぶん喜べないんじゃないかなと…。仙台はプロとしてサッカーをやる喜びを与えてくれたチームでもあるし、当然昇格してほしいという気持ちもあります。僕たちが昇格して、仙台も一緒に2009年をJ1で戦えるのが一番の理想です。そのためにも、まずは自分たちが上がることを考えていきたいと思います」

— 最後になりますが、改めて2008年への意気込みをお願いします。

「もう本当に優勝して、J1に戻ることしか考えていません。個人的なことで言えば、2004年に仙台で挙げた20ゴールを上回りたいと思っています。おそらくそれくらい取らないと優勝できませんからね。J2での優勝はタイトルにならないし昇格することが一番だけど、やっぱり優勝して喜びたいんです。自分たちの力を見せつけるくらいの強い気持ちを持って、それだけのプレーをしっかり出したいと思います」

(広島アスリートマガジン2008年2月号掲載・表記、所属等は当時のまま)