2012年に続き2年連続でJ1を制したサンフレッチェ広島。

◆ワンチャンスで決めるのがストライカー

— 中盤の選手はよく「球を触ってリズムを掴むことができる」と言いますが、FWの佐藤選手はどのようにしてリズムを掴んでいるのですか?

「僕は球に触れなかったからといってリズムに乗れないわけではありません。逆に全く触れていなくても、ワンチャンスで決めるのがストライカーだと思っています。どれだけ頭のスイッチを切らさずにオンにしておくか。頭は疲れますけど、いかに集中力を研ぎ澄ましていられるかだと思います。1試合に5本も6本もシュートを打つタイプではないので、どれだけ継続的かつ質の高い動きができるかが自分のFWとしての生命線になります。それを繰り返して訪れたシュートチャンスで、いかに良い判断で良い技術を発揮できるかが大事になってきます」

— 動きという部分では裏への抜け出しなど練習から根気強く繰り返していますね。

「動いてもパスが出てこないときがあるのは当然ですし、しんどいですよ(苦笑)。でもFWは球に触れていない時間が長い分、そこでの動きの質を上げていくことができれば得点に繋がる確率も変わってくると思うんです。動いていてもパスが出てこないときが多ければ多いほど肉体的にも精神的にもしんどいですけど、こればっかりは止めてしまうと何も起こりませんからね」

— そういった姿勢が10年連続二桁ゴールという素晴らしい記録達成を可能にしたのですね。

「そう言ってもらえるとうれしいですね。プロ野球と違ってJリーグはまだ歴史が浅いので、なかなか数字の部分で評価されにくいですからね。広島ではすごく取り上げられるんですけど、全国的にはまだ評価してもらえていないような気がします」

— サッカー界は選手の入れ替わりが激しく、常に競争に身を置いている中で長期にわたり安定した成績を残すことは非常に難しいのではないですか?

「結果が出なければ変えられるポジションがFWですからね。これまで僕は自分自身を客観視したときに満足したことがなく、練習から常にどうやって足りないところを補っていけるかを考えています。現状で満足してしまうと、そこがピークになってしまいますからね。まだまだうまくなりたいと思いますし、成長するためのモチベーションがなくなったときは引退するときだと思っています」

— 佐藤選手のサッカーに対する姿勢や情熱は、サッカー少年だったときから変わっていないように感じます。

「仕事となってから子どものときとは違って全てが楽しかったわけではありませんが、好きじゃなければ続けられないと思います。サッカーが好きだからこそ突き詰められるし、サッカーが好きだからこそ純粋にもっとうまくなりたいという思いがあります」