2020年、自慢の快足を武器に一軍の舞台で躍動した大盛穂の姿に、カープファンは大いに沸き立った。カープ伝統の機動力野球の新たな旗手として、名乗りを上げた背番号59に一軍定着1年目の手応えを語ってもらった。

支配下登録選手として初のシーズンに臨んだ大盛穂選手。73試合に出場するなど一軍の戦力として存在感を見せつけた。

◆変化球への対応が一番の課題。打撃も走塁も“気持ち”が大事

— 支配下登録選手として初めて臨んだシーズンでしたが、大盛選手にとって今季はどのようなシーズンとなりましたか?

「いろいろありますが、一つ言えるのは今後やるべきことが明確になったシーズンだったということです。課題がしっかり見つかった点も良かったと思っています。もちろん良い部分もありましたが、同じぐらい悪いところも見えたシーズンでした」

— ご自身で最も課題だと感じた部分はどのような点ですか?

「変化球への対応ですね。特に2ストライクに追い込まれてからの対応の仕方がざっくりというか、少し大雑把でした。追い込まれる前に仕留められる球がきていたケースもあったので、一つの打席に対する意識は少し変えていきたいです」

 

— 終盤になかなかヒットが打てない時期もありましたが、そうした課題が原因だったのでしょうか?

「そうですね。相手との対戦以前に、打席内で自分の中で考えすぎて悪くなってしまっていた部分もあると思います。終盤からフェニックス・リーグにかけては練習の時にいろいろと考えて取り組んで、実際の試合では考え込みすぎないようにしていました。打席内で工夫もするんですけど、『三振したくない』とか『きれいに打とう』とかはあまり考えないようにしています」

— 収穫を挙げるとすればどんな部分になりますか?

「打撃であれば150キロの直球に対して弾くこともできて、力負けもしなかったので、自分がやっていることは間違っていないと思いました。また走塁面では一つ先の塁を狙うとか、そういう意識は持てていたと思います」

— 盗塁数についてはいかがですか?

「数も少なかったですし、成功率もまだまだですね。来季はもっと盗塁を仕掛ける回数を増やしたいと思います」

— 一軍でのプレーが初めてのシーズンということもあり投手の癖などが分からない点も関係していたのでしょうか?

「もちろんどうしても癖が見抜けないこともありますが、そういうときこそ割り切ってギャンブル気味に走る勇気も必要だと思います。1年間通してつくづく思ったことは、走塁や盗塁に必要ものは“勇気”だということです。『自分に打ち克つ』じゃないですけど、やっぱりビビったら、そこで負けかなと思います。“行く”と決めたら行く、そういう自信をつけないといけません」

(#2に続く)