カープ黄金期のいぶし銀・木下富雄と、記憶に残るプレーでファンを魅了した天谷宗一郎。親子ほどの年齢差のある二人だが、2000年代に“二軍監督”と“選手”として伝統の猛練習を通じて並々ならぬ関係を築き上げた。

 若手時代の思い出から、今だからこそ話せる裏話まで意外な“師弟コンビ”が全3回にわたり、カープへの思いを語り尽くす!

 最終回となる第3回はときに“家族”とも呼ばれるほどの一体感を持つカープという球団の良さがメインテーマ。“一枚岩”になり再びV奪回を目指すカープへの願いを互いに語ってもらった。

木下富雄氏が営むやきとり店『カープ鳥』の店頭に立つ木下富雄氏と天谷宗一郎氏。

◆育成こそカープの魅力

─お二人が考えるカープの良さはどんなところにあると思いますか?

【木下】やっぱり選手を育て上げる雰囲気があると思うし、そこはすごく良いところですよね。今活躍している鈴木誠也もそうです。必死に二軍で練習して今の姿があるのだと思います。

【天谷】具体的な話になりますが、オーナーが二軍の試合にまで来ていただいて、全く実績のない選手にも声をかけていただけるのは選手としてはすごくうれしいです。トレードでカープに来た選手は、まず他球団では考えられないと言っていましたからね。そこはカープの“一枚岩”としての良さを感じますし、“家族”と呼ばれる所以なのかと思います。

【木下】二軍で優勝したときも安芸グランドホテルで食事しただろ? あれはオーナーから『木下、優勝って良いなぁ』って言われて『お前ら、あそこで飯食え!』って御馳走してもらったんだよ。オーナーから優勝祝いってことでね。良い思い出だよ。環境面もすごく気を使ってくれて、聞く耳を持ってくれてる人なんだよね。グラウンドの状態が悪いときもオーナーに伝えるとすぐ手入れをしてくれたし、大野寮の料理長が由宇に行くようになったのもオーナーの計らいだからね。

 

【天谷】球団としてできること、できないことは当然あるんですが、選手の要望をすごく聞いてくれる球団だと思います。選手がやりやすい環境を毎年つくってくれているからこそ、一体感が強いのかなと思います。

─最後になりますが、お二人が今後どのようにカープと関わっていきたいか、展望等を聞かせてください。

【木下】コロナ禍でだいぶお店の方への影響はあったけど、これからもカープを中心に広島の良さをアピールしていきたいですね。お客さんのなかには、ありがたいことにカープと関係なくふらっとやってきてくださる方もいるのでね。

【天谷】僕も実際にお店で食事をさせていただくこともありますが、木下さんのお店は本当に美味しいですからね! 普通に木下さんにビールも注いでもらいますし(笑)。好きなメニューは焼き鳥もそうですけど、油そば! ぜひ食べていただきたいですね。

【木下】やっぱり広島が盛り上がった方がお店も盛り上がるし、カープには常に優勝争いができるチームになってほしいね。毎年優勝は現実的に考えると難しいだろうから、最低でもAクラスには食い込んでいるという状況をつくっていってほしいですね。

【天谷】それは僕も同じですね。まだチームには3連覇を経験したメンバーも多くいますし、常勝チームをつくっていくことは可能だと思っています。個人的には解説者として、野球に興味のある方はもちろん、そこまで野球に興味がない方でも自分の解説を聞いて、ちょっとでもカープに興味を持ってもらえるような解説を心がけていきたいですね。

【木下】テレビで天谷が解説している時は「こいつ、俺の教え子」って言ってるからね(笑)。いつも誇らしい気持ちになっているよ。これからも頑張ってくれよ!