昨シーズンはケガでの離脱もありながら、J1リーグ3位タイとなるゴール数をマーク。オフにはその去就に注目が集まったストライカーが選んだ新天地は、広島だった。「全盛期を捧げる」と力強く語った新戦力は、その言葉通り開幕戦からスタメン入りを果たし、攻守に献身的なプレーでチームに貢献している。ジャーメイン良がシーズン直前に語っていた言葉をお届けする。(全3回/第1回)

主に1トップで起用されているジャーメイン。第2節の横浜FM戦で移籍後初ゴールをマークした

ワンランク上の選手になるために、チャレンジしようと移籍を決断

—加入1年目のシーズン、ここまでの手応えは?(※取材は宮崎キャンプ中)

 「トルコキャンプでの最初の練習試合から、割とスムーズに、違和感なくプレーできています。ここ数年、広島がJ1リーグの上位で戦っているのを対戦相手として見てきて、『サンフレッチェのサッカーはこうなんだ』とイメージしやすかったことも大きかったです」

—その最初の練習試合で得点を決めました。すぐに結果が出たことで、その後も落ち着いてプレーできているのでしょうか。

 「磐田時代から練習試合では得点にこだわり過ぎないようにしています。とはいえ、早い段階で結果が出たのは良かったですね」

—トルコキャンプのときに 「(体力的に)きついです」と話していました。これまで経験したキャンプよりもハードでしたか。

 「到着後すぐに練習で紅白戦があり、ほぼ毎日2部練習でした。午後に練習試合がある日に午前中も練習するのは、あまり経験したことがありません。しかも1回の練習の強度、紅白戦の強度がすごく高くて、最初の練習ではかなり息が上がりました。イメージで言うと、高校を卒業して、大学で初めて練習試合でプレーしたときのような違いです」

—一緒にプレーしてみて驚いた選手は?

 「トルガイ (アルスラン)です。めちゃくちゃうまくて驚きました。外から見ていてもうまいなと思っていましたが、一緒にプレーしてみると、ケタ違いにうまいです」

—今回、磐田から完全移籍での加入となりました。サンフレッチェからオファーがあったときは、どんな心境でしたか。

 「最近のJ1リーグを引っ張ってきたチームで、今季こそ絶対に優勝という強い思いを持つチームが、自分を必要としてくれたことがうれしかったです」

—移籍するかどうか迷いましたか。

 「磐田には愛着があり、街も含めて居心地が良かったので、もちろん離れたくない気持ちもありました。ただ4月で30歳になりますし、もっと成長が必要だと昨季の途中から感じていたんです。そのタイミングでオファーがあり、ワンランク上の選手になるためにチャレンジしようと決断しました。しっかり考えた上で、長く迷うことはなかったです」

—昨季はJ1リーグで自己最多19得点、得点ランク3位タイの好成績を残しました。2ケタ得点も初めてでしたが、一気に数字を伸ばすことができた要因は何だと思いますか。

 「初めてJ2でプレーした2023年の9得点がきっかけになりました (それまでの最多は3得点)。最初にプロになったベガルタ仙台ではケガがちで出場機会が少なく、次の横浜FCでは主にサイド寄りのポジションで守備の時間が長く、チームもJ2に降格してしまいました。磐田での1年目もあまり先発できず、チームもJ2に降格しましたが、2023年に初めて1年間コンスタントに、しかも最前線のポジションでプレーしたこと、相手との駆け引きなどを試合の中で感じ取って成長できたことが、昨季の爆発につながったと思っています。結果が出たことで、最後までしっかり相手を見るなど、余裕を持ってプレーできるようになりました。2023年にヨコさん(横内昭展前監督)が磐田に来て、自分を信頼して起用してくれたことに感謝しています」

—昨季限りで退任した横内監督は、サンフレッチェで長く指導者を務めていました。今回の移籍に際して何か話をしたのですか。

 「事前には話していませんが、リーグ戦の最終節が終わった後、チーム全員が集まったときに 『サンフレッチェに移籍します』と報告しました。クラブのことを教えてくれたり、自分の成長したところ、もっと良くなるところなどをアドバイスしてくれました」

(第2回へ続く)