いよいよ2月1日から始まるカープの2021年春季キャンプ。沖縄市のコザしんきんスタジアムで行われる一軍キャンプには、昨季一軍デビューを果たした期待の若鯉が数多く抜擢され、フレッシュなメンバーでスタートする。その中から、今季のブレイクが期待される若手野手をピックアップ。一軍枠を勝ち取るのはどの選手か、チーム内の熾烈な競争に注目だ。

プロ3年目の昨季、待望の一軍初出場を飾った中村奨成選手。今季の飛躍にも期待がかかる。

◆會澤翼、坂倉将吾に続く第3捕手の座を奪えるか

中村奨成
<2020年成績>
一軍:4試合/打率.000/0安打/0本塁打/0打点
二軍:55試合/打率.244/40安打/1本塁打/14打点

 プロ4年目の飛躍が期待される若手捕手。甲子園を沸かせた地元・広島出身の大器は、昨年7月26日のDeNA戦(横浜スタジアム)で一軍デビューを果たし、スポットライトが輝く舞台で経験を積んだ。

「やっと野球選手としての一歩を踏み出すことができたと思いますし、2021年につながるシーズンを過ごせたと思います」

 一軍メンバーに名を連ねたのは1ヶ月にも満たず、与えられた打席はわずか4打席。捕手としての守備出場はなく安打も生まれなかったが、中村にとっては、プロのレベルを体感できる、貴重な時間となったはずだ。

「一軍の投手と対戦する中でも、決して甘い球がこないわけではありませんでした。ただその確率が少ないことは理解できましたし、1球で仕留める力がまだまだ足りないなと思いました。一軍で4打席も立たせてもらいましたが、結果は出せませんでした。そこで打てなかったということは、まだまだ自分の実力が足りなかったということです」

 超えなければならない明確な課題はあるものの、昨年の中村は、プロ1年目、2年目とは一味違った姿を見せた。ウエスタン・リーグ開幕から好調を維持し、なかでも、かつて甲子園を魅了したバッティングで躍動。一時期は二軍で首位打者に立つなど、首脳陣にアピールを重ねた。

 今季中村は、母校・広陵高校の先輩である小林誠司(巨人)と共に自主トレを行うなど、勝負の春季キャンプに臨む。カープ捕手陣は、19年間チームを支えた石原慶幸が現役引退し、一軍捕手枠が一つ空いた。正捕手の會澤翼、昨年81試合に出場した坂倉将吾に続く、第3捕手の座を目指し、全力でアピールを続けていく。