圧倒的な打撃力とリーグ1位のチーム防御率を引っ提げ、独走で25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた2016年のカープ。その原動力の一つとなったのが、個性豊かな投手陣を巧みにリードした石原慶幸の存在だ。2020年限りで現役を引退した石原の現役時代を振り返った『広島アスリートマガジン2021年2月号』に収録された、2016年の独占インタビューをweb上でも公開する。

2016年5月にはジョンソン投手とのコンビで、17年ぶりの2試合連続完封を達成した石原選手。

◆リーグ1位の防御率は自分を信じて投げた結果

─ 2016年の投手陣はリーグトップの防御率をマークしていますが、好調の要因について、捕手の石原さんが考える要因はどのような点にあると思われますか?

 「一番は個々の投手が自分の球を信じて投げていることが今季の好調につながっていると思います。シーズン途中から加わった若い投手も好投して投手力全体をカバーし合うこともありましたし、いろんな要素があると思います」

─ シーズンを通じて若い投手の活躍も光っていたように思います。

 「たとえばルーキーの岡田(明丈)であれば、常に一生懸命投げてくれているので、球を受けていて『なんとか勝たせてあげたい』と感じています。また若手投手にとっては、やはり黒田(博樹)さんがマウンドに上がって投げる姿、投げるまでの準備などは良い見本になっていると思います。僕がどうこうではなく、黒田さんという存在がチーム、投手陣にいることが大きいと思いますね」

─ その黒田投手は2016年に日米通算200勝という偉業を達成されました。今季はバッテリーを組み続けてきてプレッシャーを感じられることはありましたか?

 「良い意味でのプレッシャーはいつも感じています。でも日米通算200勝という節目の大記録がかかるなかで受けさせていただいたときは、いつもと違う気持ちになりましたね」

─ 長年黒田投手とプレーをされてきた石原選手にとって、この記録は感慨深いものがあったのではないでしょうか?

 「200勝という記録は僕らにとっては未知数の数字ですし、すごいとしか言いようがないですね。黒田さんとは僕が入団してから、個人的にいろいろな話をさせていただいて、昨季カープに帰ってこられてからもいろいろな話をさせていただいています。やはり特別な思いを持っていますね」

─ 黒田投手とバッテリーを組むなかで、今季組み立てに変化を加えた部分はありますか?

 「黒田さん自身があれだけキャリアを重ねているにも関わらず常に進化していこうという方なので、昨季と違う球だったり、同じ変化球でも動きが変わっていたり、それぞれ打者に対しての対応もあります。意識して変えたという訳ではありませんが、その試合で臨機応変に組み立てています。試合中に気づくことがあれば、お互いに相談しながら投球を組み立てていく形になっています」