◆数奇な運命を辿る背番号『51』

 何となくポジションが定着していく背番号も多くあるが、『51』に関して言えばそうなってはいない。1973年には別当薫監督もつけており、コーチ以外全てのポジションの選手が並んでいる。2012年のドラフト2位で入団し、末永から『51』を引き継いだ鈴木誠也に至っては、3年目の2015年シーズンより内野手から外野手に転向しても背番号は変更しなかった。

 2013年、1999年の東出輝裕以来となる高卒新人野手で一軍昇格を果たした鈴木は、同年に初安打、初打点も記録。前田智徳引退試合では1番、ライトでスタメン出場を果たした。大ブレイクしたのは2016年で、交流戦のオリックス戦で2試合連続サヨナラ本塁打、3戦目も決勝本塁打を放つ大活躍。緒方孝市監督が発した「神ってる」は、その年の流行語大賞にも選ばれた。

 翌2017年シーズンは終盤に右脛骨内果を剥離骨折し戦線離脱を余儀なくされたものの、2018年には開幕から復活し、中心選手として球団史上初となるリーグ3連覇を成し遂げた。日本を代表する4番に成長した鈴木は、2019年から前田智徳の引退以来、空き番号となっていた背番号「1」を継承。前田と同じ背番号『51』でスタートした鈴木が『1』を引き継ぐまでに成長したことには、数奇な流れが感じられる。

 空位となった『51』を現在背負っているのが小園海斗だ。報徳学園高時代は2年連続でU-18日本代表にも選出され、ドラフトでは根尾昂(大阪桐蔭高)と並ぶ4球団からの指名を受けた。結果、ソフトバンク、オリックス、DeNAとの抽選を制したカープが交渉権を獲得。走攻守3拍子そろったゴールデンルーキーとしての期待も高く、不振の田中広輔に代わり1年目からショートに定着した。

 ルーキーイヤーは58試合に出場し、4本塁打で球団高卒新人野手の本塁打記録を塗り替える活躍を見せた。だが、2年目以降は再び田中にポジションを奪われ、ほぼ二軍に終始。前田、鈴木の活躍により“出世番号”となった『51』を背負うだけに、超大型新人の再起にかかる期待は大きい。

【背番号『51』を背負った主なカープ選手】
江藤智(捕手/1989年)
前田智徳(外野手/1990年-1991年)
末永真史(外野手/2000年-2012年)
鈴木誠也(内野手/2013年-2018年)
小園海斗(内野手/2019年)
※初めて背番号を付けたシーズンのポジションを表記。