10月のドラフト会議では、育成を含む9選手との交渉権を獲得した新井カープ。さらに、外部から投手コーチを招へいするなど首脳陣の顔ぶれも変わり、来シーズンに向けた動きが加速している。ここではカープOB・大野豊氏が、新井カープ4度目への期待を独自の目線で解説する。(全2回/第2回)
◆新任、入替え……4年目の新井カープに期待したい
コーチングスタッフの人事では、二軍で投手コーチを務めた高橋建コーチと横山竜士コーチの退団が発表され、外部からはヤクルトでコーチを務めた石井弘寿コーチが一軍投手コーチに就任しました。
石井コーチは左投手ですが、カープにも左投手が増えているなか、外部の考え方を注入するという意味でも投手陣にとっては非常にプラスになる指導者が加わったのではないかと思います。一軍投手コーチが石井コーチと菊地原毅コーチといずれも左投手ですから、そこのバランスはやや気になるところですが、二軍、三軍との入れ替えなどさまざまな動きのあったコーチ人事もプラス材料が多いと受け止めて、キャンプ、として来シーズンと期待して見ていきたいです。
秋季キャンプでは投手陣がブルペンで積極的に投げ込みを行っていたようですが、これは非常に良いことだと感じていました。特に若い投手にとっては、体づくりの面でも技術を身につけるといった面でも投げ込みは大切です。
球数を投げればそれだけ疲れも出てくるものですが、だからこそ、そこから何が必要かということを実際に投げ込んでみて理解していくことが重要になります。投げ込みで下半身を使えば下半身の強化にもつながりますし、投げることで肩にスタミナもつきます。疲れた時の体の使い方やバランス、タイミングを実際に経験して、覚えていく。秋季キャンプで取り組んだことはおそらく若い投手たちにとってプラスになっていくはずです。
新井貴浩監督にとって、来季は4年目のシーズンになります。2025年の終盤にあれだけ若い選手を起用したということは、監督自身、チームの若返りを図っている状況なのでしょう。まさに今、監督にとっても試練の時を迎えているのだと思います。
『育成しながら勝てるチームをつくり上げる』ことは、監督にとっても大きな課題です。そのなかでも若手の台頭や新戦力の活躍といった楽しみも出てくる……。来季はそんなチームづくりができるのではないかと、前向きに捉えたいと思います。

