上本崇司の周囲の雰囲気を変えるパフォーマンスはチームに欠かせない。
しかし、プロ7年目の昨季は出場試合数が半減。悔しいシーズンとなった。
30歳を迎える2020年シーズンでの逆襲を誓う、背番号0の思いに迫った。

 

 チームが苦しい状況になったとき、彼は空気を一変させる力を持っている。軽快な足取りで円陣に加わると、機転の利いたユーモアやパフォーマンスで仲間に大きな笑いをもたらすのだ。試合中もベンチの雰囲気づくりに心を砕いている。
 ただ、彼だって苦悩がないわけではない。チームメートの悩みを忘れさせることはできても、自分自身のそれを払拭する魔法は持ち合わせていない。

 「チームを盛り上げるのは大事な役割だと思っています。でも、ベンチを盛り上げても、自分の中では笑えていない時期がありました」

 上本崇司の7年目のシーズンが終わった。足は速く、走塁技術も高い。内野のほぼ全ポジションに対応し、外野での出場経験もある。おまけにベンチに明るいムードをもたらすわけだから、ベンチにとって欠かせないピースであることは言うまでもない。
 守備・走塁にパーソナリティーを兼ね備えた上本の存在の大きさは、リーグ3連覇の戦いの中で証明済みである。しかし2019年、上本の一軍出場機会は31試合と前年(59試合)から半減していた。

 「シーズンの後半戦はほぼ一軍にいなかったので、結局は自分が悪いシーズンだったと思います。技術が足りなかったということです。チャンスはあったわけですから。やはり、打たないといけないという思いを強くしました」