写真は現役時代の岡崎氏。球団初の地元広島出身選手として2014年に入団し、2018年までプレーを続けた。

◆「お昼はサッカー観戦→夜は野球観戦」スポーツ観戦はしご

坂上 『広島横断型スポーツ応援プロジェクト』ではその他のアプローチもお考えなのでしょうか?

神田 将来的にどのスポーツも観戦できる共通のチケットを発行したり、ファンミーティングを実施したり、横断型のファンクラブにすることが夢でもあります。

森﨑 広島にはたくさんのチームがあるので『昼間はこの競技で、夕方からはこの競技を見る』という“はしご”観戦ができますね。

神田 各チームで密な連携が取れていれば実現できそうですね。話題は変わりますが、実は今、SAHでは『好きじゃけん女子野球、広島県!』のキーワードで女子野球を推進しています。昨年12月には全日本女子野球連盟が認定する『女子野球タウン』に、三次市と廿日市市が選ばれました。SAHとしては女子野球を盛り上げて地域の活性化につなげたいという思いもあります。

【広島ドラゴンフライズの社長が語る、スポーツ経営】

坂上 チーム、ファンが盛り上がるだけではなく、地域の活力につながりますね。

神田 合宿なども誘致し、地元の方々の応援がある。そんな循環を生み出したいです。スポーツはみんなを元気にするパワーがあります。私自身スポーツチームを経営する中で、これだけの方々にパワーを与える力があったのだと実感しています。その一方で責任のあるビジネスだと感じています。もちろん、プロスポーツだけではありません。昨年、『わがまち💛スポーツ』の取り組みとして福山市、北広島町、府中市で活動しましたが100%展開できた訳ではありませんでした。その中で反省点も明確になっていますので、立て直したいと考えています。そして、新たに活動を展開する市町に関しても、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

岡崎 ドラゴンフライズでは他競技チームとコラボした企画をハーフタイムに入れてみたり、いろいろな試みを行っています。繰り返しになりますが、そういう試みを実施してみると、行ったことがない競技って改めてたくさんあると実感しますね。

天谷 テレビでの取材を通じて広島ガス・バドミントン部の練習にお邪魔したことがあるのですが、体験するととても面白かったですね。その際に日本代表の下田菜都美選手とお会いさせていただきましたが、正直、お仕事させていただくと決まってから初めてその存在を知る機会になりました。そういう意味では、いろいろな形で競技同士がコラボすることは、さまざまな競技チームの選手のみなさんを知る良い機会になると実感できました。

森﨑 やはり知ることで身近に感じますし、知ってもらうということは重要ですよね。

天谷 現役を引退してから、ドラゴンフライズさんの試合を見る機会も増えましたが、“音と試合と観客が一体となっている”という特有の空間だと感じました。さまざまな競技と触れる機会が増えると、その面白さを知ることができますよね。まずは、足を運んでもらうというのは本当に大事なことですよね。

【座談会が開催されたのは広島駅近くのスポーツバー!】

<スペシャル座談会参加者プロフィール>

スペシャル座談会の発起人
■神田康範
スポーツアクティベーションひろしま代表
1981年熊本県生まれ。大阪大学外国語学部卒業後、大手スポーツメーカーに入社し、5年間米国支社に勤務。帰国後、大手スポーツマネジメント会社などを経て「HONDA ESTILO」で本田圭佑のマネジメントを担当。2015年からオーストリアサッカー2部リーグ「SVホルン」CEOに就任。帰国後,2018年~2019年には、Bリーグ・ライジングゼファーフクオカのCEOに就任。現在は九州アジアプロ野球リーグに所属する火の国サラマンダーズの代表取締役としても活躍する。

■天谷宗一郎氏
元広島東洋カープ・プロ野球解説者
1983年11月8日生、福井県出身。2001年ドラフト9巡目で広島東洋カープに入団。現役時代は俊足巧打の外野手として活躍。2008年にはレギュラーに定着し、2010年にはホームラン性の当たりを捕球するスーパーキャッチを見せるなど、記憶に残る数々のプレーでファンを沸かせてきた。2018年限りで現役を引退し、その後はプロ野球解説者として活躍中。

■森﨑浩司
サンフレッチェ広島・アンバサダー
1981年5月9日生、広島県出身。サンフレッチェ広島ユースから、2000年にサンフレッチェ広島入団。得点感覚に優れたMFとして活躍し、2004年にはアテネ五輪に出場。また双子の兄である森﨑和幸と共に長年チームの主力としてサポーターに愛され続け、3度のJ1制覇に大きく貢献。2016年限りで現役引退。その後はアンバサダーとしてクラブ広報活動に尽力する。

■岡崎修司
広島ドラゴンフライズ・ゼネラルマネージャー
1990年8月12日、広島県出身。広島・皆実高時代には3年連続全国大会出場。広島大在学中ながら2014年に広島ドラゴンフライズにチーム初の広島県出身者として入団。2017年にはシーズン中に薬剤師国家試験に合格。2018年現役引退後は、クラブのアンバサダー、ユースコーチを歴任し、2021年3月からゼネラルマネージャーに就任した。

座談会ナビゲーター
■坂上俊次
(RCC中国放送アナウンサー)
1999年にRCC中国放送に入社。テレビ、ラジオでカープ戦の実況中継を長年担当し、緻密な取材を続ける。2004年からは本誌にて「赤ヘル注目の男たち」等を連載。著書に「惚れる力」、「優勝請負人 スポーツアナウンサーが伝えたい9つの覚悟」、「優勝請負人」、「「育てて勝つ」はカープの流儀」など多数。