◆今シーズンがダメだったら先はない

 開幕戦は4打数無安打に終わり結果を残せなかったが、佐々岡監督は、翌日の相手先発が右腕のピープルズにも関わらず、堂林を再び「7番・一塁」でスタメン起用した。そしてこの試合では、5打数4安打の大暴れで開幕2連勝に貢献。8月、9月にやや打撃成績を落としたものの、10月から再び上昇気流に乗り2012年と同じ自己最多タイとなる14本塁打、打点数(58)と打率(.279)は自己最多を更新する成績を残してみせた。

「『今シーズンがダメだったら先はない』という強い覚悟でシーズンに入りましたし、いつ開幕するかという難しい状況でしたけど、その中で気持ちも変わらず、うまく調整することができたと思います。その心の在り方が、今シーズンの成績につながったんだと思います。まだまだ課題も多いですけど、この先につながる課題が見えてきたシーズンでもありましたし、同時に自分の良さを出すことができたシーズンだったと思います」(『広島アスリートマガジン』2020年12月号)

 背水の陣で臨んだシーズンで見事に覚醒し、再び周囲からの信頼を勝ち取った堂林。酸いも甘いも味わった男が、自らのバットで“覚醒の2シーズン目”を演出する。