3月17日のオープン戦(ヤクルト戦)で4回1安打無失点と好投し、開幕ローテーション入りを勝ち取った床田寛樹。貴重な本格派左腕だけに、2019年シーズンのような飛躍が期待されている。2019年は7勝ながら、クオリティースタートを連発するなど安定感は抜群だった。ここではトミー・ジョン手術からの復活を果たした床田の、2019年シーズン中の声を振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2019年6月号)

ルーキーイヤーから開幕ローテ入りを果たしたが、直後の2017年4月19日に左肘を負傷。そこから長いリハビリ生活を強いられた床田寛樹投手。

◆長いリハビリを経ての待望の復帰後初勝利

─ まずはリハビリから復帰されてから、2年ぶりの勝利おめでとうございます。4月6日の阪神戦で白星を手にした瞬間の心境はいかがでしたか?

 「長いリハビリ期間を経て、ずっと一軍で投げて勝ちたいという思いを持っていたので、辛く苦しいリハビリでしたが勝った瞬間は『やってきて良かったな』と思いました」

─ 開幕2戦目、3月30日の巨人戦で、久々にマツダスタジアムのマウンドに立たれました。どのような思いでマウンドに上がりましたか?

 「もちろん緊張はしましたが、変に固まることもなく、良い緊張感を持って試合に入ることができたと思います」

─ 4月13日のDeNA戦でプロ初完投をマークされましたが、あの試合の調子はいかがでしたか?

 「ブルペンから直球があまり良くなくて調子自体は良くなかったんです。會澤(翼)さんから『試合に入っても直球が良くないようだったら変化球多めでいくぞ』と言われていました。試合に入ってみると案の定、あまり直球が良くなかったんですが、しっかり気持ちを切り替えて変化球を低めに集めて内野ゴロを打たせることができました。それが結果的に完投につながったのだと思います」

─ ちなみに床田投手が完投勝利を挙げた前日は、床田投手の大学時代の目標の投手である今永翔太投手からカープが完封をくらった試合でした。ご自身の中で刺激になる部分はあったのでしょうか?

 「今永さんの投球を見て改めて『やっぱすげぇな』と思いましたね。今永さんの投球を見ること自体久々だったので、懐かしかったですね。また僕がケガをした日(2016年4月19日)は今永さんが投げていた試合だったんです。その日もカープは1安打完封をされて負けていたので、いろいろと思う部分はありました」