◆貴重な左腕投手が新たな物語を構築

 現在『28』をつけているのは、2016年のドラフトで即戦力左腕として3位指名された床田寛樹だ。期待通りプロ1年目から開幕ローテーション入りを果たし、2度目の先発となった4月12日の巨人戦でプロ初勝利を挙げている。前途洋々と思われたが、4月19日の DeNA戦で左肘に違和感を覚え緊急降板。左肘内側筋筋挫傷により登録抹消となった。

 7月にトミー・ジョン手術を受け、以降は長いリハビリに終始。2年という空白期間を経て、2019年に再び開幕ローテーション入りを勝ち取った。同年は7勝に終わったが、大半の試合でクオリティースタートを達成。オールスターゲームにも選出されるなど完全復活を果たした。貴重な左腕だけに、今季は2019年シーズンを上回る活躍が期待される。

 かつては『28』といえば“鉄人”をイメージし、プロ野球ファンであればそこから衣笠を連想した。その後、“鉄人”のイメージは1992年から2002年までカープに在籍した金本知憲に受け継がれ、令和の世の中では『28』と聞いて“鉄人”をイメージする人は少数派となった。

 はたして今後、プロ野球界に“鉄人”と呼ばれる選手は現れるのだろうか。昭和世代の少数派は、ひそかにそんな選手の出現を心待ちにしているのかもしれない。

【背番号『28』を背負った主なカープ選手】
衣笠祥雄(捕手/1965年-1974年)
西田真二(外野手/1983年-1995年)
瀬戸輝信(捕手/1996年-2004年)
広池浩司(投手/2005年-2010年)
新井貴浩(内野手/2015年)
床田寛樹(投手/2017年-)
※初めて背番号を付けたシーズンのポジションを表記。