中村奨成が持ち前のパンチ力を武器に、ウエスタン・リーグで存在感を示している。プロ4年目となる今季は、昨年に引き続き一軍の春季キャンプに帯同。開幕一軍を目指し會澤翼、坂倉将吾、石原貴規らと凌ぎを削ってきた。

春季キャンプでも精力的にバットを振り込んだ中村奨成選手。

 しかし、開幕一軍入りは叶わず二軍に合流。その悔しさをバットで晴らすように、4月2日はマツダスタジアムで行われたウエスタン・リーグ(阪神戦)で、今季第1号となる本塁打を放ってみせた。

 甲子園1大会の本塁打記録(6本塁打)をマークしているだけに、当然ながら周囲の期待も高い。二軍で結果を残すことで、昨季の7月25日には初の一軍昇格も勝ち取った。だが、ウエスタン・リーグで首位打者を快走しながら、一軍の舞台では初安打を放つことはできなかった。

「一軍の投手と対戦する中でも、決して甘い球がこないわけではありませんでした。ただその確率が少ないことは理解できましたし、1球で仕留める力がまだまだ足りないなと思いました。一軍で4打席も立たせてもらいましたが、結果は出せませんでした。そこで打てなかったということは、まだまだ自分の実力が足りなかったということです」(『広島アスリートマガジン』2020年11月号)

 一軍の壁に跳ね返される形となったが、今季はキャッチャーだけではなくサード、ライト、センター、レフト、DHで試合に出場。4月12日現在で13試合出場、47打数13安打、2本塁打、6打点、打率.277と、まずまずの数字を残している。

 パンチ力を証明するように、2本塁打はウエスタンでは正隨優弥と並んでチームトップ。現時点では小園海斗、正隨を含めたこの3選手が、一軍にもっとも近い存在と言えるのかもしれない。

 わずか4打席とはいえ、一軍の舞台を経験したことは有形無形の財産になったはずだ。カープファンから大きな期待を背負う背番号22が、一軍での初安打を目指し日々、バットを振り続けている。