◆ツーシームを有効に使うには?

「ツーシームを投げる上で、逆の軌道となるアウトコースのストレートであったり、スライダーという球種を意識することで配球的に有利になります。例えば右打者に外角球を意識させれば、外角に意識が向かってくるので、逆の軌道となるツーシームがより有効的になってくるのです。また“ツーシームを投げられるから良い投手”なのではなく、基本的にコントロールが良くて、逃げる球を持っている、そして落ちる球などがあるからこそ、打者の体に近いところに投げることができるツーシームが生きてくるわけです」

◆ツーシームが持つ危険性

「他の球の質が落ちてしまうリスクが高い変化球です。ツーシームを覚えることで、腕の振りの感覚が変わることがあります。例えば上から下に向けて腕を振っていた投手が、ツーシームを覚えたことにより、曲げようとする意識が強くなり、前で腕を大きく振り出す意識が強まって腕の軌道が変わってしまう危険性があります。さらに投球時に曲げようとする意識が強ければ体が開いてしまいますし、他の球がコントロールできなくなってしまいます。野村祐輔は『投げ始めてからチェンジアップが抜けにくくなりました』と言っていました。逆にチェンジアップを良くしようとする練習を重ねると、ツーシームの曲がりがおかしくなることもあり、指先の微妙な感覚が必要とされる球でしょうね」