黒田博樹氏のカープ復帰と同時に注目が高まり、今ではあらゆる試合で目にすることが多くなった変化球が“ツーシーム”だ。はたして、この球はどのような変化球で、どのような効果をもたらすのか。ここでは野球解説者時代の横山竜士氏(現カープ一軍投手コーチ)の解説をもとに、ツーシームという変化球を紐解いていく。
(『広島アスリートマガジン』2015年7月号)

横山竜士・元広島カープ一軍投手コーチのツーシームの握り。

◆シュートに似た軌道の変化球

「まずツーシームはどのように曲がる変化球かと言うと、基本的にはシュートに似たような軌道で曲がる球です。なぜ『ツーシーム』と呼ばれるかは、球を投げたときにボールが1回転する間に縫い目(シーム)が2度回ってくることから、そう呼ばれています(ちなみに『フォーシーム』は、投げたときに縫い目が4つ見えるから)。投げ方ですが、僕は昔、黒田さんに教わったことがあります。まず2本の縫い目に人差し指と中指を置いて握り、どちらかと言うと人差し指を押し込んでいく感じで投げます。ただ僕の投球スタイルに合わなかったというか、上手く習得できませんでした(苦笑)」

◆黒田博樹氏のツーシーム

「もともと黒田さんはスライダー、フォークが良い投手でした。しかし、右打者のインコースを攻める何かを探した結果、シュート系の変化球を練習するなかでツーシームを習得されたのだと思います。そしてツーシームを活かすため、プレートの一塁側を踏んで投球するようになったのだと思います。プレートの一塁側から投げるとどんな効果があるかと言うと、打者目線からはストライクゾーンに球が乗っている軌道で球が来るので、打者はそれを振っていくしかありません。そうすると右投手が右打者と対戦した場合であれば詰まらせることができますし、芯で捉えてもファールにしかならず、カウントを稼ぐこともできる有効的な球になるわけです」