◆定着させるべきはこちらのキーワード!?

 「鯉のぼりの季節まで」となってしまった要因の1つが交流戦だ。2018年は7勝11敗と負け越しはしたものの、リーグ3連覇を果たしたのだから、まだ良しとしよう。

 2011年の場合は、4月に単独首位だったにもかかわらず、交流戦に入って50イニング連続無得点、10連敗など記録的な敗戦が続き、最終的にはリーグ5位に終わった。2014年も交流戦9連敗とつまづき、その後立て直したものの、9月に失速してリーグ3位となった。これらの苦い記憶が、「鯉のぼりの季節まで」の言葉を残存させてしまったのかも知れない。

 とは言え、逆に「鯉のぼりの季節から」の方が5回と、数としては多いのである(2017年は勝率が同じなので含めず)。むしろ、「カープは鯉のぼりの季節から」という言葉を定着させたくなるほどだ。

 今年は、この原稿を書いている時点で13勝14敗2分と、まずまずの成績である。これは「鯉のぼりの季節から」を期待しても良い状況なのではないだろうか。

 ところで、この考察に1年だけ含められなかった年がある。昨年、2020年だ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が延期となり、6月19日からのスタートとなった。もうとっくに「鯉のぼりの季節」は過ぎてしまった頃である。昨年のような厳しい状況を考えれば、「鯉のぼりの季節」に野球が観られるということ自体をありがたいことと考えて、鯉のぼり手拭いをテレビの前で振りながら応援したいと思う。

 

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。