昨季、防御率1点台を叩き出すなど、抜群の安定感を武器に新人王に輝いた森下暢仁。2年目を迎えた今季、周囲からの期待は自然と高くなる。森下暢仁はどのような意識で言葉では言い表せない重圧を克服しているのか。結果を出す18番の思いに迫った。

新人王を獲得した昨年以上の活躍に期待がかかる森下暢仁投手。

◆1位入団だからどうこうとは深く考えていませんでした

─ルーキーイヤーの昨年は二桁勝利を達成し新人王を獲得されました。森下投手にとってどんな1年でしたか?

「まず思うのはファンのみなさんの存在の大きさを感じた1年だったことです。無観客試合から始まって、途中からお客さんが入っての試合開催となりましたが、ファンの方々の声援が力に変わるということを身をもって感じました。また、シーズン途中に一度離脱はしましたが、1年を通して一軍に帯同させてもらい、チームにもだんだんと溶け込むことができました。本当にいろんな経験をさせてもらった1年でした」

─昨年は8月以降に8勝を挙げる活躍。一気に勝ち星を伸ばしました。特に10月・11月に4勝を挙げ、その間の防御率は0・24の圧巻の成績でした。開幕当初とシーズン後半で投球スタイルや考え方の部分で変えたことはありますか?

 「シーズン前半は、何も分からずとにかく必死に投げているだけでした。ただ、後半になるにつれ、同じチームとの対戦が増えていくなかで、前回の借りを返したい、負けたくないという気持ちと、新人王を獲りたいという気持ちが投球に影響を与えたのかなと思います。あとは、とにかくチームが勝てるために、しっかりと良い準備をして試合に臨むことは強く意識してやってきました」

─2年目に向けて、オフはどんな課題を持って取り組んでこられましたか?

 「オフは初めてで、どんなことをやったらいいのか分からなかったので、カープの先輩の方々と一緒に自主トレをやらせてもらいたいと思っていました。2年目も結果を残さないといけないなかで、自分の足りない部分を考え、練習に対する意識を高く持ち、シーズンに向けて取り組んできました」

─鈴木誠也選手の自主トレにも参加されました。これはどういう意図で参加されたのでしょうか?

 「最初は(大瀬良)大地さんと一緒にやらせてもらいたいと思っていたのですが、大地さんがケガ明けだったため、誠也さんと堂林さんに相談して、こちらに参加させていただくことになりました。一人で広島でトレーニングするよりは、得るものが大きいと思いましたし、あと、マエケン(前田健太・ツインズ)さんも自主トレ地の沖縄にいると聞いたので、一緒に行かせてもらいたいとお願いしました」

─自主トレを経てからの春季キャンプ。新たに取り組まれたことはありますか?

 「新しい変化球を試したりもしましたが、一番は、いま自分が試合で投げている球種のレベルアップを意識してやってきました」

─ストレート、カットボール、チェンジアップ、カーブの4球種ですね。

 「プロに入る前から全球種をしっかり投げることを意識していましたが、昨年のシーズンを通して感じたのは、まだまだコントロールできていない部分があるということです。その部分を今年の春季キャンプでレベルアップさせたいと思っていました。感覚的なところではある程度、キャンプ中につかむことができたので、一つひとつステップアップはできているのかなと思っています」

─昨年はドラフト1位で入団し、エースナンバーでもある背番号18を託されたこともあり、重圧も大きかったと思います。その重圧に打ち勝つためにどんな意識でシーズンを戦っていましたか?

 「18番をいただいた責任感は感じていましたが、1位入団だからどうこうとは深く考えていませんでした。周りに大地さんや(九里)亜蓮さん、明治大の先輩でもある(野村)祐輔さんというすごい投手がいるので自分はその先輩たちについていこう、そんな気持ちでいました。ドラフト1位だから、18番だから自分が引っ張っていこうという気持ちはなかったですね。先輩方のおかげで、自分の仕事をすることに集中できました」