連敗を脱出した翌日の試合で今季6度目の完封負けを喫するなど、カープがなかなか波に乗り切れない。ここでは借金5で下位に沈むカープの現状を、OBの笘篠賢治氏が独自目線で分析する。

今季は外野守備にも挑戦。早くも昨季の出場数を超えている羽月隆太郎選手。

 引き分けを挟んで6連敗と苦しい戦いを続けていたカープですが、5月8日の中日戦でやっと勝利を手にすることができました。

 その立役者は、なんといってもプロ初本塁打を放った羽月隆太郎でしょう。インコースのストレートを無心で振り抜いたのだと思いますが、ここのところ本当に良い活躍を見せています。

 春季キャンプでは足を活かそうと、上から鋭角的にバットを叩きつけすぎていて、強く打ち返せていないのが気になっていたのですが、今はバットの軌道が良くなってきました。画面越しで見ていても、身体が小さくてもスタンドを超えるような打球を飛ばせるスイングをしているのがよく分かります。

 ただ、本塁打を意識して崩れることもあるので、本塁打の魅力に取り憑かれて大振りにならないように注意してほしいです。ただ、羽月は自分がどのようなタイプの選手か分かっているので心配する必要はないと思います。今のこの感覚を忘れずに好調をキープし続けてほしいですね。

 また、勝ち越しに成功した7回表にも注目のシーンがありました。先頭の小園海斗がヒットで出塁して、続く先発・九里亜蓮のところに代打で堂林翔太。自分の打撃が本調子ではない中で、絶対に失敗できないプレッシャーのかかる場面でした。

 そのような状況下で堂林はきっちりとバントを決めて、結果的に菊池涼介の二塁打で得点に結びつきました。この場面に関しては堂林を褒めてあげたいです。勝ち方にもいろいろあると思いますが、やるべきことを一つひとつしっかりとやった中での勝利。これがないと安定した戦いはできませんから、今後に向けての一つの光明となりました。