投手陣が奮闘するも得点力不足から4月下旬から5月上旬にかけて6連敗を喫するなど苦戦が続いたカープ。苦戦の要因の一つに得点力不足があげられる。それを解消する打線の救世主となる選手は誰か⁉︎OBの笘篠賢治氏が独自の目線で分析する。

選手会長・田中広輔の復調がチームにとっては大きなプラス材料となる。今後の巻き返しに注目だ。

◆田中の状態が上向く起用を優先したいところ

 若手選手の活躍が目立っているカープ。今季、さらなる成長に期待がかかる野手にふれていきましょう。

 まず名前をあげるなら、現在はコロナ感染で離脱していますが、4月下旬に一軍に昇格した3年目の小園海斗です。昨年一軍で数字を残せなかった危機感からか、今季の小園のプレーからは、結果を残さないといけない強い気持ちを感じます。根尾昂 (中日)や藤原恭大 (ロッテ)といった同世代の選手も頑張っているだけに、それも良い刺激になっているのだと思います。

 バッティングに関しては、打球が詰まることを恐れず、しっかり踏み込んで打ちにいき、そのうえで体が開くことなく、上手く体を回転させながらバットを出しています。また、積極性もさることながら、アウトコースのさばき方など、打撃技術も向上しているように感じます。走攻守、全てにおいて、果敢に攻めていくタイプの選手なので、一軍での試合経験を積み重ね、結果がついてくることで、より一層成長できるのではないでしょうか。

 チームとしての課題をあげるなら、同じポジションである田中広輔との共存でしょう。成績が良くても悪くても、常に平常心で、選手会長としてチームをまとめてくれる田中は、一軍には絶対に欠かせない選手だと思っています。佐々岡監督も、田中の状態が上がれば、スタメンで使いたいと思っているからこそ一軍で調整をさせているのだと思います。残念ながらシーズン序盤は、田中の打撃成績は芳しくないですが、状態はそこまで悪くないと見ています。

 安打になるかどうかは、紙一重の部分もあるのですが、打者は、安打が出ないと考え過ぎてしまい、思い切りバットを振れなくなってくるものです。今の田中は、その悪循環に陥っているのかもしれません。昨年の後半から体の状態が良くなっていると感じるだけに、優先順位をつけるのであれば、一日も早く、田中の状態が上がる起用を優先して考えてあげてほしいところです。

 そうなると、小園との共存が必要になってきます。そこで、『ショート・小園』、『サード・田中』、もしくは、『ショート・田中』、『サード・小園』の起用を提案したいです。田中の調子が上がれば得点力も向上していくと思うので、グラウンドを駆け回る背番号2の復活を期待したいですね。